海外情勢

インドネシア、脱中国の外資誘致に全力 資源需要減退で繊維強化へ (1/2ページ)

 米中貿易戦争が世界規模でサプライチェーン(供給網)を激変させる中、中国からの生産移管を模索する外国企業の誘致合戦で大きく後れをとってきたインドネシアが巻き返しに全力を挙げている。経済の柱だったエネルギーなどの資源分野で世界的に需要が減退していることに対応し、外資誘致による産業競争力強化を新たな成長戦略と位置付けた。中核となるのが繊維産業だ。

 東南アジア繊維最大手のスリ・レジェキ・イスマン(スリテックス)のもとには、中国国外での展開を模索する大手アパレルメーカーからの問い合わせが急増している。

 同社のイワン・セティアワン・ルクミント最高経営責任者(CEO)は20日までにインタビューに応じ、「米アパレル最大手の1社が大規模な生産移管を計画している。10億ドル(約1080億円)近い規模に上る」と明かした。同社は百貨店チェーンのJCペニーやファッションブランドのゲス、小売り大手ウォルマートといった米国勢のほか、スウェーデンのアパレルメーカー、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)など大手ブランドの衣料を手掛けている。

 規制で他国に出遅れ

 東南アジア最大の国内総生産(GDP)を誇る資源大国のインドネシアは現在、世界的な市況商品の需要減退への対応に追われている。今年8月まで10カ月連続で輸出が低迷し、政府は今年の成長見通しを5.3%から5.1%に下方修正した。

 こうした中で、繊維業界が明るい材料として浮上しているのは同国にとって朗報だ。

 米中貿易摩擦の深刻化で、過去数十年にわたり世界の工場として君臨してきた中国から国際企業が生産を移管せざるを得ない中、インドネシアは繊維業界を中心に外資誘致の恩恵を受けたい考えだ。ただ、各社が米国向け輸出製品への関税賦課を回避するために、台湾やベトナム、バングラデシュといった中国以外の場所での供給体制の整備を急ぐ中、インドネシアは規則や硬直的な労働法などの障壁のせいで企業の移転先として大きく出遅れている。

 9月の世界銀行による概況分析では、インドネシアが中国からの移転を望む企業誘致に苦戦する様子が示された。世銀の分析によれば、中国に上場している33社が今年6~8月の3カ月間に国外への生産拡大計画を公表しており、23社がベトナムに移転した。その他の移転先はカンボジア、インド、マレーシア、メキシコ、セビリア、タイで、インドネシアに移転した企業はなかった。

 メイバンクのシニアエコノミスト、チュア・ハック・ビン氏は「インドネシアは労働力の大きさや賃金競争力、建設用地などの面で優位にあるにもかかわらず貿易の「迂回(うかい)先としての魅力や新たなサプライチェーンへの投資メリットといった面で後れをとっているようだ。官僚主義的な規制、労働者に手厚い労働法、貿易の障壁の高さがハードルになっている」と指摘する。

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