高論卓説

日銀、GPIF…株価は“げた”を履いている 青息吐息の高値更新 (2/2ページ)

 相場展開はコンピューターを駆使した超高速・高頻度売買の浸透、目先の値ザヤ稼ぎ狙いのヘッジファンドの参入などで無機質さを増す。「市場は人の喜怒哀楽が織りなすところ」。大蔵省(当時)事務次官を務めた後、東証理事長を長く務めた谷村裕さん(故人)はエッセーの中でこう書いた。個人投資家の持ち株比率が30%台だった時代の感慨でもあった。個人投資家の持ち株比率は18年度末で17.2%。ベテラン投資家も減少の一途。喜怒哀楽が漂う余地は限りなく小さくなった。

 私事で恐縮だが、9月に念願だったシルクロード旅行に出掛けた。唐の時代の詩人、王翰(おうかん)はシルクロードの入り口の涼州(現在の武威)で「涼州詞」を詠んだ。結句は「古来、征戦、幾人か回(かえ)る」。意訳すれば、匈奴との戦いに出征した大勢の兵士のうち、何人が帰還できただろうか。

 今の時代、個人は株式投資で果実を得るのは難しい。株式投資で生き残れる人は少ないと、覚悟しておいた方が無難だろう。

【プロフィル】加藤隆一

 かとう・りゅういち 経済ジャーナリスト。早大卒。日本経済新聞記者、日経QUICKニュース編集委員などを経て2010年からフリー。東京都出身。

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