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トルコ EUへの難民流出が火種に

 「アラブの春」が広がった2011年以降、政情不安が高まった中東諸国から、多くの難民が欧州に押し寄せた。特に、内戦が勃発したシリア難民の規模は大きく、隣国のトルコを経由して流入した欧州連合(EU)では大きな社会問題を引き起こした。

 16年にEUとトルコは、60億ユーロ(約7220億円)の資金援助などを条件にトルコからの難民流出を抑制することで合意したが、トルコに滞留するシリア難民は360万人を上回り、トルコは世界最大の難民受け入れ国となっている。

 しかし、トルコは19年の夏頃から、EUへの難民流出を事実上黙認している。難民がトルコからEUに移動する際の主なルートであるギリシャの難民・移民の流入数をみると、難民危機といわれた15年に比べれば小規模にとどまるものの、足元で16年以来のペースに増加している。

 トルコが難民流出を黙認する背景には、EUの資金援助がいまだ60億ユーロに達していないことに加え、トルコ内の景気低迷を受けて、国民の雇用に悪影響を与えかねない難民への反発が強まっていることがある。

 こうした中、シリア北部に駐留していた米軍が撤収するなど、中東情勢の先行きは依然不透明であり、今後、難民がさらに増加する可能性がある。トルコの黙認が続けば、トルコを経由したEUへの難民流入が増加し、EU各国で高まる難民排斥、ポピュリズム(大衆迎合主義)の動きに拍車をかけることが懸念される。(編集協力=日本政策投資銀行)

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