ブランドウォッチング

東京モーターショーで変化の波を体感 自動車産業の祭典は「もっと輝ける」 (3/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 でも、来場者の視点で見るとどうでしょうか?そもそも自動車に興味があまりない人にとって自動車がたくさん並べてあることに意味はあるでしょうか?私のように自動車に非常に興味がある人間にとってさえ、見てみたい車両はその中の一部だけです。もっと言えば、クルマ自体を見たければいつでも販売店や、メーカーのショールームに行けば良い。

 一方でネット時代になったからこそ、リアルイベントの価値は相対的に高まっていると言われています。今回の東京モーターショーには少なくとも変えていこう、変えていかなければという意志の端緒を感じます。まだまだ手探り感は正直ありますが、そこも含めてまさに自動車産業変化の時代を肌で感じ、来場者も自ら参加する実感を持てるイベントになっていると思いました。

 日本にとって日本人にとっての自動車産業の死活的な重要さを考えると、モーターショーはもはや極端に言えば日本人全員参加のイベントにしても良いのかもしれません。例えば2年後の次回は、全国に無数にある自動車ディーラーや高速道路SA、道の駅などあらゆる自動車関係の施設を巻き込みながら、全国で開催するのはどうでしょうか?例えばモーターショーウイークは、全国のガソリンスタンドで色々なステッカーを配ってみんなで貼って盛り上がるとか、色々とアイデアはあるように思いました。ハロウィンではないですが、今回の東京モーターショー2019で感じられたより多くの人をインボルブ・巻き込みたい、エンゲージメント・応援してもらいたいという自動車業界の意志に対して、私を含めて多くの日本人が賛同すると思いますし、より多くの人が自動車にコミットすればするほど自動車の魅力はさらに伝わっていくのではないかと感じさせられた今回の東京モーターショーでした。

秋月涼佑(あきづき・りょうすけ)
秋月涼佑(あきづき・りょうすけ) ブランドプロデューサー
大手広告代理店で様々なクライアントを担当。商品開発(コンセプト、パッケージデザイン、ネーミング等の開発)に多く関わる。現在、独立してブランドプロデューサーとして活躍中。ライフスタイルからマーケティング、ビジネス、政治経済まで硬軟幅の広い執筆活動にも注力中。
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【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら

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