専欄

習近平氏の「世界大変局論」

 中国の最高指導者、習近平は、世界は今、極めて大きく変化しつつあると考えており、彼はその世界認識を「世界はこの百年に経験したことのない大変局にある」と表現している。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 習近平は、例えば、2017年12月、海外に駐在する外交官を北京に集めた会議で同趣旨の発言をしているが、この世界大変局の認識を正式に提起したのは、18年6月の中央外事工作会議においてである。習近平はその会議の演説で、「現在、わが国は近代以来最も良好な発展の時期にあり、世界はこの百年に経験したことのない大変局にある」と語っている。

 それ以降、この世界大変局論が中国の指導者の発言やメディアなどに頻繁に登場している。今年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)における首相の政府活動報告では、「今日、世界はこの百年に経験したことのない大変局に直面している」と述べている。

 習近平自身は、外国首脳との会談では必ずといっていいほどこの認識を披露しており、例えば、先月中旬のインドでの中印首脳会談では、世界は大変局にあると述べた上で、両国の協力の可能性は大きく、よきパートナーになるべきだと強調した。

 また、先月下旬、北京でブラジルの大統領と会談した際も、「今日、世界はまさにこの百年に経験したことのない大変局にある」と述べ、「しかし、平和、発展、協力、ウィンウィンという時代の潮流は変わらない。中国、ブラジルなど新興国の台頭も変わらない」と語った。

 中国の学者、研究者はこの世界認識をめぐって、「世界は常に変化しているが、なぜ今が大変局なのか」「大変局の中で、中国はいかにあるべきか」などについて活発に議論している。

 その議論の中で、大変局の理由としてまず指摘されているのは、中国をはじめとする新興国の台頭、米国など西側先進国の相対的地位の低下である。世界は一超多強から多極化に移行しつつあるとの認識でもある。

 経済のグローバル化や新しい科学技術革命・第4次産業革命なども、大変局をもたらしている要因として指摘されている。

 習近平指導部は、大変局は中国にとって挑戦ではあるが、チャンスでもあると受け止めており、共産党の指導的幹部に対し、大変局と習近平の外交思想を深く理解し、大変局がもたらすチャンスをしっかりとつかむよう求めている。(敬称略)

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