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ソフトバンクへの懸念が高まったら、日本はどうなるか  (1/2ページ)

 重要な局面を迎えるソフトバンク

 ソフトバンクグループ(ソフトバンク)は、創業者である孫正義氏の指揮のもとIT先端分野を中心に有望企業への投資を積極的に進め、今後、成長期待の高い分野での収益拡大を目指している。とくに、10兆円規模の“ビジョン・ファンド”を設立し、多くのスタートアップ企業に投資を行う姿勢には、孫氏の成長への強い執念を感じる。

 一方、市場参加者の中には、投資会社としてのソフトバンクの戦線拡大のペースがやや性急すぎると危惧する者もいる。最近、同社が100億ドル以上を投じてきた米国のウィーカンパニーがIPOを延期せざるを得なくなったことは、そうした懸念が高まる一つの要因となった。

 ソフトバンクの投資先の中には、すでにビジネスモデルが確立し成長が期待される企業もある。投資には不確実性がつきものだ。米中貿易摩擦の先行きなど、世界経済の不確定要素は徐々に増えつつある。そうした状況下、ソフトバンクが長期にわたって付加価値を生み出すことができる企業をどのように見極め、それに投資して自社の成長を実現できるかが問われることになる。

 超積極的な投資戦略の“光と影”

 ソフトバンクは、人工知能をはじめ今後の世界経済の成長をけん引すると考えられるテクノロジーなどをもつ企業に、かなり積極的に投資を行ってきた。創業まもない中国のアリババ・グループに投資したことで、アリババの株価上昇に伴い巨額の利益を得た。それは、ソフトバンクグループ全体の業績を支えるほどになっている。これは、積極的な投資戦略の成果=光の部分といってよい。

 10兆円ファンドとも呼ばれるビジョン・ファンドを設立し、投資会社としての機能も強化してきた。足もと、ビジョン・ファンドは、“ユニコーン企業(企業価値が10億ドルを超えると評価され、成長期待も高い未上場の新興企業)”などスタートアップ企業への投資を重視している。他の企業に先駆けて創業後まもない企業に投資し、その成長を支え、IPOを実現することによって利得を手に入れようとしている。

 ただ、ここにきてその投資スタンスにはやや懸念される部分が出はじめた。その一つが、米シェアオフィス大手“ウィーワーク”を運営するウィーカンパニーへの出資だ。

 ソフトバンクとビジョン・ファンドが出資してきたウィーカンパニーは、利益を確保できていない。にもかかわらず、同社は事業拡大を優先し、不動産価格が高騰するニューヨークなどでオフィスのリース契約を結んだ。それが費用を増大させた。

 ウィーカンパニーへの巨額支援から信用不安が拡大

 ウィーカンパニーはIPOを通して資金調達を行い、リース料を負担できる体制を目指していた。しかし、シェアオフィス事業から安定的に付加価値が生み出せていないことやコーポレート・ガバナンスなどへの不安から、IPOを延期せざるを得なくなった。この結果、ウィーカンパニーの資金繰り懸念が高まり、ソフトバンクは巨額の支援を行わざるを得なくなった。

 また、ソフトバンクが投資し、IPOを果たした米ウーバー・テクノロジーズ(配車アプリ大手)などでも最終損益は赤字に陥っている。急速な戦線拡大の影の部分(投資先企業が想定通りに成長を実現できていないことへの懸念)は、徐々に出はじめているといえる。

 ウィーカンパニーのIPO延期などを受けて、一時、ソフトバンクの株価は不安定な展開になった。同社のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のプレミアム=同社に対する一種の保証料率も高まり信用不安が拡大している。

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