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悪条件重なり豚肉価格高騰 来年には沈静化?

 ギョーザ、酢豚、回鍋肉(ホイコーロー)など、中華料理には豚肉が欠かせない。ところがその豚肉の価格がこのところ高騰して、庶民の食卓を襲っている。政府は豚肉の供給を増やし、価格を抑えようと躍起になっているが、そう簡単ではない。価格高騰の要因がいくつもあるからだ。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 まずは「ピッグサイクル」だ。豚肉価格と豚飼養頭数は、ほぼ3年ごとの周期で繰り返し変動する。中国では、昨年半ばころに価格が底をつき、上昇期に入っていた。

 環境対策規制もこの数年は厳しさを増すばかりである。政府は汚染防止のために養豚場の建設区域を制限したり、違反者への罰則を厳しくしたりしている。特に小規模な養豚農家には風当たりが強く、農場の閉鎖件数も増えている。

 そこにアフリカ豚コレラが発生した。昨年8月に遼寧省瀋陽で発生すると、瞬く間に全国に広がっていった。発生件数の推移をみると、昨年10~12月の3カ月間は、月に20件以上も起きている。その後もなかなか収束しない。ようやく今年夏以降になって月に2~3件程度に減ってきたが、それでもまだ根絶できずにいる。これまでに殺処分した豚の頭数は、100万頭を超えている。

 さらに米中貿易戦争による打撃が加わった。中国は米国への対抗措置の一環として、米国産の豚肉、さらには豚の餌となる大豆にも高い関税を課した。当然のことながら、養豚農家にはコスト高となって跳ね返ってくる。中には養豚業を放棄するところも出てくる。そうなれば、余計に豚の頭数減少に拍車がかかってしまう。

 政府が警戒するのは、豚肉高騰と貿易戦争を結びつけて考えられることだ。政府批判にもつながりかねない。消費者物価も高騰し、直近の10月には前年同月比で3.8%上昇となっている。豚肉価格の上昇が最も目立つが、牛肉や鶏卵なども代替需要でかなり上がっている。

 幸いにも米中間の協議は一歩前進し、第1段階の合意に向けて詰めの協議が行われている。最終合意となれば、豚肉や大豆に対する高関税は適用除外とし、同時に米国から大規模な農産物の輸入を約束することになりそうだ。

 上海財経大学高等研究院は最近発表の経済予測の中で、来年に入れば豚肉価格は少しずつ沈静化するとみている。さて来年の旧正月には、風習となっている年越しのギョーザをふんだんに食べられるだろうか。

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