国内

LNG輸入50年、増す存在感 中東依存小さくクリーン

 日本が液化天然ガス(LNG)を初めて輸入してから、今年の11月で50年となった。火力発電の燃料や都市ガスの原料として使われ、石油や石炭より温室効果ガスの排出量が少ない。石油に比べて生産国は分散し、不安定な中東情勢の影響を受けにくいといった利点も多く、生活を支えるエネルギーとして存在感を増している。

 日本のLNG輸入は1969年11月4日、米アラスカ州から約3万トンのLNGを積んだ船が東京ガスの根岸工場(現根岸LNG基地、横浜市)に到着して始まった。LNGを初めて受け入れたタンクは今なお現役だ。

 都市ガスはそれまで石炭や石油を加工して造っていたが、燃やすと大気汚染の原因となる硫黄酸化物が発生した。LNGは硫黄分を含まないため、大気汚染対策としても注目された。

 LNG輸入者国際グループによると、2018年の世界のLNG輸入量は約3億1400万トン。日本はオーストラリアやマレーシア、カタールなどから計約8200万トンを調達した最大の輸入国だ。日本の原油輸入の中東依存度は約9割だが、LNGは約2割で、米国とイランの対立で緊迫化する中東への依存度は相対的に小さい。

 課題もある。日本が輸入するLNGは原油価格と連動する契約が主流で、売り手にLNGの転売を制限される契約も多い。買い手のガス会社や電力会社は原油価格の影響を受けにくく、転売が自由にできる米国産などの購入を増やし、調達先の多様化にも力を入れる。

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