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中国の「第五の現代化」が意味するもの

 先月末に開かれた中国共産党の中央委員会総会(第19期4中総会)は、建国100年の2049年には国家の統治システムと統治能力を全面的に現代化し、中国の特色ある社会主義制度をいっそう強固にし、その優越性を十分に発揮させると宣言した。一部の海外メディアはその現代化を「第五の現代化」と位置付けている。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 毛沢東時代に首相を務めた周恩来が1964年と75年の全国人民代表大会(全人代=国会)で、農業、工業、国防、科学技術の「四つの近代化」(中国語は現代化。当時は近代化と訳すのが一般的だった)を唱えた。四つの近代化は改革開放時代になって実現したが、農業、工業、国防、科学技術に次ぐことから、第五の現代化と呼ばれる。

 もっとも、四つの近代化が盛んに叫ばれた70年代末、民主活動家の魏京生は、政治の民主化を「第五の近代化」として掲げた。だが、トウ小平の怒りを買い、監獄生活を余儀なくされた。

 国家の統治システムと統治能力の現代化が初めて提起されたのは、6年前の党中央委員会総会(第18期3中総会)で、総会決定は、改革を全面的に深化させる目標は、中国の特色ある社会主義制度を充実、発展させ、国家の統治システムと統治能力の現代化を推進することであると述べている。

 また、2年前の第19回党大会の政治報告は、社会主義現代化強国を実現する建国100年には、国家の統治システムと統治能力の現代化を実現すると述べている。第五の現代化は現代化強国を実現する上での重要な制度的保障なのである。

 今回の4中総会の決定は、これら3中総会や党大会の決定を受けて、中国の特色ある社会主義制度と国家統治システムの今後の改善、整備に関する具体的方針・計画を展開している。それは13項目に及ぶが、最初に取り上げられているのは党の指導制度である。

 党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴で、党の指導制度は中国の特色ある社会主義制度を統括する制度と位置付けられている。

 第五の現代化が意味するものは、中国が今後とも、党の指導を核心とする独自の現代化した国家統治システムを確立するということであり、西側モデルとの併存、競合が続くということである。重要なことは、それぞれの国民がどのような制度・システムを好ましいと考えるかだろう。(敬称略)

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