国内

企業の投資活性で税制優遇へ 与党税調、ベンチャー出資後押し

 自民党税制調査会は21日、総会を開き2020年度の税制改正に向けた議論を本格化させた。今年新たに会長に就任した甘利明氏は日本の経済成長を後押しするような税制改正に取り組む意向を示しており、増え続けている企業の内部留保を、M&A(企業の合併・買収)などの投資につなげる税制の新設が焦点。ただ、実効性のある制度にできるか課題も残っており、年末の税制改正大綱の取りまとめに向け、詳細を詰める。

 「未来を先取りをして、公正で公平な税制を築いていく」

 総会の冒頭、そう語った甘利氏の念頭にあるのは、デジタル化が進む中で、企業のビジネスモデルの変革が進んでいないにも関わらず、多くの企業が内部留保をため込み、将来の成長につながるような投資が十分に行われていないことへの危機感だ。

 そこで党税調で検討されているのが、大企業がベンチャー企業のM&Aなど、投資に活用した際に税を優遇する税制だ。ベンチャー企業が持つ新しい技術や考えを取り込み、既存ビジネスと融合させることでイノベーション(技術革新)を起こし、国際競争力を向上させる狙いがある。

 ただ、具体的な制度設計についてはまだ課題が多い。財源については、大企業の交際費の一部を損金算入できる特例措置を廃止することが検討されているが、税制で企業の投資をどう後押しするかの仕組みはまだ見えていない。新たな投資を喚起する効果が乏しく、もともとM&Aをしようとしていた企業が得をするだけの税制では意味がなく、総会であいさつした麻生太郎財務相も「有効で意味のある仕組みをご検討いただきたい」とクギを刺した。

 この日は公明党税調も総会を開いており、地方と中小企業を支援する税制についての重要性を共有した。

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