海外情勢

パプア独立住民投票、結果確定は5年後か 議会承認必要も先延ばし懸念

 南太平洋にあるパプアニューギニアのブーゲンビル自治州で、パプアからの独立か自治拡大かを問う住民投票が始まった。独立支持の住民が多数派とみられる。投票結果は12月中旬に公表されるが、法的拘束力はない。結果の確定にはパプア政府との協議を経て同議会の承認が必要で、自治州のモミス大統領は5年程度かかるとの見通しを示した。

 自治州を構成するブーゲンビル島では1988年、オーストラリア資本の鉱山会社による銅採掘に絡む住民の抗議が独立運動に発展。独立派の「ブーゲンビル革命軍」(BRA)とパプア政府による98年までの内戦で約1万5000人が死亡した。2001年に自治政府樹立などを柱とする和平協定が結ばれ、20年6月までの住民投票実施が決まった。

 住民投票委員会によると、投票は12月7日まで。州内のブカなど800カ所以上に設けられた投票所で日程を分けて行われる。有権者は約20万6000人。

 自治州は財政の大部分をパプア政府からの補助金に頼っており、独立したとしても前途は多難だ。インフラ整備を通じ、南太平洋で影響力を高める中国が攻勢を強める可能性も高い。

 パプアのマラペ首相は投票実施に協力的な姿勢を示すが、外貨獲得に有用な鉱物資源に恵まれる自治州を独立させたくないのが本音で、他州に独立の動きが波及することも懸念しているとみられる。独立多数の結果となっても、パプア議会が承認を先延ばしするうちに自治州住民の不満が高まる恐れもある。

 住民投票は日本政府も支援しており、約1億円の無償資金協力を表明。投票の国際監視団に外務省の高田稔久・太平洋島嶼(とうしょ)国地域担当大使らを派遣している。(ブカ 共同)

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