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中国の景気悪化 危機感は伝わってこないが…失業者増の懸念は

 中国経済がこのところ変調を来している。高度成長を可能にしてきた人口ボーナスはいまや消失してしまったし、米中経済戦争も簡単には収束できない。内外の厳しい環境下で、国内総生産(GDP)の伸びは一貫して下がり続けている。普通に考えれば、企業の経営悪化や倒産などによって失業者が増大し、社会不安を招きかねないのだが、中国からはあまりそうした危機感が伝わってこない。さて大丈夫なのだろうか。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 2020年度の国家公務員試験が、このほど全国で行われた。今回は約2万4000人の求人に対して、応募者は過去最高の約143万7000人に達した。ほぼ60倍の狭き門である。中国のメディアは、清華大学や北京大学に入るよりも難しい、と伝えている。人気の部署だと2000倍以上のところもあるという。

 大学受験では、入学希望者の約8割は合格できる。受験者数は増えているものの、それ以上に大学の学生受入数が拡大しているからだ。かつてよりも格段に入りやすくなっている。

 ところが就職は大変だ。今年の大学卒業生は約830万人もいる。一方で、業績悪化によって求人数を減らす企業が相次いでいる。国家公務員試験に学生が殺到するのも、企業への就職がうまくいかないからだろう。

 もっとも「全国城鎮(都市)調査失業率」をみると、それほど悪化していない。今年7月には前月比で0.2ポイントの上昇となったが、これは卒業した大学生たちが一挙に労働市場に入ってきたためとみられる。その証拠に25~59歳でみると、ほとんど変わっていない。

 失業率の統計には、「サンプル数が少ない」などの批判も多く、労働市場の実態から乖離(かいり)している可能性もある。それでも、失業者が巷にあふれ、社会不安が生じているような状況にはなっていない。

 やはり少子高齢化が進み、労働力人口が減り始めていることが、背景にありそうだ。農村から都市部へ流入してくる「農民工」も、あまり高望みをしなければ仕事にありつける。

 産業構造が変化し、労働力を多く吸収するサービス産業の比率が増えていることも好材料になっている。最近は、自分でベンチャー企業を創設する若者も急増している。創設しても3年内に半分くらいは倒産してしまうらしい。それでもある程度の技術を持っていれば、生活していくには困らない、ということだろうか。

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