英総選挙

英EUのFTA交渉が課題 英国輸出に関税発生も 田中理・第一生命経済研究所主席エコノミスト

 英総選挙は欧州連合(EU)離脱を主導する保守党の勝利で、今後は英国とEU間で進める新たな自由貿易協定(FTA)交渉が課題となる。英国は離脱に向けた移行期間が終了する来年12月末までに交渉をまとめなければならないが、EU加盟各国の批准作業もあり交渉の難航が予想されており、安心はできない。

 英国とEUが合意すれば移行期間の延長とともにFTA交渉も延長できるが、今回の選挙戦で保守党は移行期間を延長しないことを公約に掲げており、政治的に非常に難しい判断を迫られるだろう。移行期間までにFTA交渉をまとめられなかった場合、何の取り決めもないまま離脱する「合意なき離脱」と同様の状態になる恐れもある。

 また、交渉期間が延長された場合、英国に進出している日本企業は延長を見据えた準備コストなども発生する。今年から日本とEUとの間では経済連携協定(EPA)が発効され、多くの物品の関税が削減、撤廃された。だが、英国とEUの交渉の状況次第では、日本と英国との貿易で関税が余分にかかることにもなり、日本企業は輸出や投資計画などにおいて経営判断を迫られることになる。

 日本企業にとってのベストシナリオは、英EU間のFTA交渉の早期妥結だが、各国との関税割当などがどうなるかは見通せない。場合によっては、日本と英国の間でEPA締結に向けた交渉も必要になる。

 離脱をめぐる不透明感の後退で一時的に金融市場では安心感が広がっているが、長続きしないだろう。(談)

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