海外情勢

米中合意、メンツを保った習近平政権 景気減速でぎりぎりの交渉

 米中両政府が合意に達した「第1段階」の貿易協議で、中国側は追加関税の段階的取り消しなど自ら重視する点については譲らなかった一方で、金融サービスの対外開放など自国にもメリットがある分野では接近を重ねた。結果的に合意内容には中国側が実行しやすい項目が並び、「第1段階」は習近平政権のメンツを保つ形で決着したとみられる。

 「貿易協議が合意に達するのは中米両国民と世界の人々の利益となる」

 13日夜、中国政府が開いた米国との貿易協議に関する緊急記者会見で、中国商務省の王受文次官は合意の意義をこう表現した。さらに、米国が中国産品にかけている追加関税を段階的に取り消すことでも一致したと強調している。

 米中が貿易協議で部分的に合意した10月以降、中国側は発動済み制裁関税の取り消しを重視する姿勢を前面に示してきた。11月上旬には商務省報道官が「第1段階」の部分合意を実現した場合に双方が歩調を合わせて同じ比率で関税を取り消すことが「協議をまとめる重要な条件だ」と表明。追加関税による経済へのマイナス影響が深刻になっている中国側としては、これは譲れない一線の一つだった。

 一方で、応じやすい要求については積極的に受け入れてきた。10月には外資企業の中国市場参入に関わる規制分野の削減方針や出資規制の撤廃スケジュールを相次ぎ表明。また、トランプ米大統領が重視する米農産物の輸入拡大についても、追加関税をかけている米国産の大豆や豚肉などを対象から除外する措置を進めていると12月上旬に発表している。

 中国は2019年7~9月期の国内総生産(GDP)成長率が6・0%と1992年以降で最も低い水準を更新するなど、景気減速が目立っているため交渉を何とかまとめ上げたいのが本音だったとみられる。一方で、習政権としては締め付けを強めている国内向けにも米側に一方的な譲歩を重ねることはできず、ぎりぎりの線で臨んだ交渉だった。(北京 三塚聖平)

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