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中国、2020年「小康社会」全面実現宣言へ 農村の貧困人口ゼロに

 来たる2020年、中国にとっては何よりも「小康(ややゆとりのある)社会」を全面的に実現するという公約を達成しなければならない年である。それは今世紀半ばに社会主義の現代化強国を実現し、中華民族の偉大な復興を成し遂げるための重要な一歩である。(元滋賀県立大学教授・荒井利明)

 小康社会の実現という構想は、トウ小平が改革開放初期に言い出したもので、1979年12月、訪中した大平正芳首相との会談で、小康を目指す考えを初めて明らかにし、20世紀末には「小康状態」に達したいと述べている。

 20世紀末に基本的に小康状態に達したとする中国は、今世紀に入ると、小康社会の全面的な実現を、2020年に向けた新たな目標として掲げた。

 習近平時代の起点である12年秋の第18回共産党大会では、国民の生活水準を向上させ、所得格差を縮小し、中間層を拡大すると強調し、20年の国内総生産(GDP)を10年のGDPの2倍に増やす具体的目標を設定した。

 習近平は15年10月、第13次5カ年計画(16~20年)に関する説明で、GDPの倍増を実現するためには、計画期間中、年平均で6.5%以上の成長が必要であると語るとともに、農村の貧困層を貧困から脱却させることが、小康社会の全面的な実現の前提条件だと述べた。

 18年末の農村の貧困人口は1660万人である。中国のメディアは今年も1000万を超える農民が貧困から脱却したと報じており、残りは数百万人である。これをゼロにするのが20年の目標である。

 また、GDPの伸びは10年代に入ると、人口ボーナス期が終わったこともあり、徐々に低下している。19年第3四半期の成長率は6.0%にとどまり、来年の成長率が6%を切る可能性も指摘されている。

 もっとも、GDPの増加分をみれば、経済規模が米国の7割近くにまで増大した現段階での6%は、2桁成長が続いた00年代の増加分よりはるかに大きい。

 米中の貿易戦争は第1段階の合意に達したものの、全面的な関係改善には程遠く、それは経済成長にもマイナスの影響を及ぼすだろう。習近平政権は来年も、米国への対応に悩まされるものとみられる。

 だが、長期政権を目指す習近平は公約実現に全力を挙げ、年末には小康社会が全面的に実現したことを宣言し、党の指導と中国の特色ある社会主義を改めて自賛するだろう。(敬称略)

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