海外情勢

肺炎が導く最悪のシナリオ 中国大手行、不良債権率5倍の危機

 中国政府が地域金融の危機に対処し始めているように見えた矢先に発生した新型コロナウイルスの感染拡大で経済は打撃を受けており、はるかに深刻な脅威が同国銀行システムを飲み込みつつある。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、中国では年次銀行ストレステスト(健全性審査)に盛り込まれた最悪の経済シナリオが現実のものとなる恐れがある。昨年のテストでは、年間経済成長率が4.15%にまで低下し、中国の大手銀行30行の不良債権比率が5倍に上昇するシナリオが想定されていた。アナリストの間では、新型コロナウイルス感染の影響により、1~3月期(第1四半期)の成長率が3.8%にまで落ち込むとの見方も浮上している。

 昨年の中国経済の成長率は30年ぶりの低い伸びにとどまったことから銀行は既に記録的な貸し倒れに苦しんでおり、銀行システムは大きな痛手を受けている。中国国家金融・発展実験室のアナリスト、ユー・チュン氏は「金融業界は大打撃を受けている。新型コロナウイルス感染拡大はすでに中国で最も活気のある中小企業にダメージを与えた。長引けば多くの企業が行き詰まり、ローンを返済できなくなる」と指摘した。

 新型ウイルスの流行に加えて、中国は米国との通商対立もまだ解決していない。多くの銀行は資本不足にあり、成長支援を求められることの多い大手銀行でさえも高まるストレスの影響を受けかねない。

 中国人民銀行(中央銀行)からの多額の資金供給でも、経済成長は今四半期に急減速しているもようで、低迷が年内続くかどうかは、当局がどれほど早くウイルス拡散に対処し、経済の原動力を再び稼働させることができるかどうかが鍵となる。

 UBSグループの予測では、中国経済成長率は昨年末時点の6%から今年1~3月期には3.8%に減速し、ウイルスが3カ月以内に封じ込められれば、2020年通期では5.4%になる見通し。ウイルス感染がさらに長期化した場合、年間成長率は5%を割り込む恐れもあるという。ゴールドマン・サックス・グループも1~3月期に4%に落ち込むと予想する一方、通期成長率はなお5.5%と見通している。(ブルームバーグ Jun Luo、Lucille Liu)

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