海外情勢

新型肺炎、コウモリ由来説に真実味 17年の分析で登場の可能性を指摘

 中国国内で多数の感染者を出し、大規模な移動制限の原因となり、世界の金融市場を揺るがしている新型コロナウイルスの由来が南部・雲南省の洞窟に潜んでいる可能性がある。

 非営利団体エコヘルス・アライアンスの疾病生態学者、ピーター・ダシャック氏らのチームは、コウモリとそれが運ぶ病原体を探して中国全土や世界各国の洞窟に完全防備で足を踏み入れてきた。同氏ら世界の科学者が結論付けようとしているのは、かつての人里離れた地域に人々が急速に定住するようになり、ウイルスを抱える動物とこれほど接近するようになったことはないという点だ。

 移住で接触増加

 住民が増え、動物との接触の機会は拡大、結果として病気も増える。完璧なウイルスの「るつぼ」だ。人口が増えるにつれ、「こうしたスピルオーバー(波及)イベントの数は飛躍的に増えつつある」とダシャック氏は話す。今後も新型コロナウイルスのような大規模感染が起きることは「単純な計算で間違いない」と話す。

 米疾病対策センター(CDC)は人の新興感染症の4つに3つはそもそも動物由来と推定。科学誌ネイチャーに2017年に掲載されたダシャック氏の研究によると、中でもコウモリは「動物由来感染症」で人に感染する可能性が高い哺乳類ウイルスで割合が最も大きい。

 デューク・シンガポール国立大学メディカルスクールで新興感染症プログラムを率いるリンファ・ワン氏は「コウモリ由来のウイルスだと90%自信を持っている」と明かす。

 ネイチャーに3日掲載された研究結果によれば、ダシャック、ワン両氏とコウモリウイルスに関して10年超にわたり研究してきた武漢病毒研究所のコロナウイルス専門家、石正麗氏が雲南省のコウモリウイルスと新型ウイルスが遺伝子学的に96%余り一致していることを発見。この研究によると、新型ウイルスは重症急性呼吸器症候群(SARS)の遠縁で、遺伝子配列のほぼ80%が共通していた。

 感染に市場が関与か

 新型コロナウイルスが動物から人へどのように感染したのかは謎のままだが、科学者らは都市のスプロール化(無秩序な開発)や中国の生鮮市場との密接なつながりを指摘する。

 ニューヨークを本拠とする環境保護団体ワイルドライフ・コンサべーション・ソサエティーの衛生担当エグゼクティブディレクター、クリスチャン・ウォルツァー氏は生きた動物が生鮮市場にいると指摘。「ブタだけでなく鳥もいて、ヘビやコウモリもいるかもしれない」と話し、金網のおりに一緒に詰め込まれているという。

 ウイルスに汚染された水分や分泌物が混ざり合って、新型ウイルスの発生を手助けする可能性もある。生きた動物を客の目の前で処理する状況ならなおさらだ。ワイルドライフ・コンサべーション・ソサエティーはアジア全般のこうした市場を禁止すべきだと呼び掛けている。閉鎖しなければ新型ウイルスが数年ごとに現れるとウォルツァー氏は語る。

 雲南省の洞窟を調べた武漢病毒研究所の石氏らは科学誌プロス・パソジェンズに掲載された17年の分析で、「人へと広がるリスクやSARSに類似した疾病の登場はあり得る」と指摘していた。それから数年、この恐ろしい予言が現実になったようにも見える。(ブルームバーグ Robert Langreth)

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