海外情勢

WTO協定税率上げ検討 米政権、FTA未締結国に圧力強化

 米トランプ政権が、世界貿易機関(WTO)と米国内で取り決めた国や地域別の協定税率引き上げの検討に着手したことが関係者の話で明らかになった。WTO批判を強め、他の加盟国との再交渉を始める構えだ。

 関係者によると、ライトハイザー通商代表部(USTR)代表は現在、過去の政権が数十年にわたる交渉の末に合意した協定税率を見直す計画を検討しているという。

 米国の平均協定税率は現在3.4%と、主要先進国では最も低い水準にあり、10年以上の間、実質的に変わっていない。一方、インドの協定税率は51%、ブラジルは31%だ。

 トランプ大統領と上級顧問らはこれまでにも、他の国や地域が一部製品に関して米国よりも高い関税を課すことができる点に不満を表明。WTOルールが米国にとって不利である例として欧州連合(EU)の乗用車関税やインドの二輪車関税を挙げていた。

 WTOに批判的な政権幹部は、1月の米中貿易協議の第1段階合意について、WTOのルールに基づく貿易秩序からの離脱とみている。トランプ政権はWTOで紛争解決の審理に当たる上級委員の選任を拒否することで、紛争解決メカニズムをまひ状態に陥らせている。

 協定税率の再交渉は、米国が現在、自由貿易協定(FTA)を締結していない欧州連合(EU)や英国、インド、ブラジルなどさまざまな国や地域に米政権が圧力を高める上で役立ちそうだ。

 ただ、USTRは声明で「現時点で協定税率を引き上げる計画はない」と明言している。

 ナバロ大統領補佐官はブルームバーグの問い合わせに対し、「現行のWTOルールは不公平かつ非互恵的な関税でがちがちに制度化されている。米国の労働者や製造業者は甚だ不利な状況に置かれているとともに、非互恵的関税で米国の貿易赤字は急増し、成長の足かせになっている」と主張。

 また、「欧州の自動車関税が米国の4倍なんてばかげている。中国やインドが8割がた、米国より高い関税を課すのは正気の沙汰ではない」と訴えた。(ブルームバーグ Bryce Baschuk、Jenny Leonard)

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