海外情勢

中国「新型肺炎」便乗の商標出願1千件に 病院名や警告の医師「李文亮」など

 【北京=西見由章】新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国で、湖北省武漢市に建設された仮設病院の名称など、新型肺炎に便乗した商標登録の出願が1千件近くに上ることがわかった。国家知的財産権局はこうした出願行為が「社会に重大な悪影響を生む」として、「厳しい打撃」を加えると警告している。

 同局によると、出願を却下するのは、急増する感染者を収容するため、10日前後の突貫工事で2月上旬までに完成した「火神山病院」「雷神山病院」の名称など。このほか、原因不明の肺炎の発生について早期に警告しながら当局から「デマを流した」として処分され、その後感染して、33歳で死去した李文亮医師の名前や、「新冠(新型コロナ)」といった名称も含まれるという。

 中国メディアによると、「火神山」の出願は春節(旧正月)明けの2月3日から始まり、医薬品会社やハイテク関連企業、玩具メーカーなどが名乗りを上げた。新型肺炎に便乗した名称の商標登録について、弁護士は商標法が使用を禁じる「社会主義道徳に有害なもの、あるいはその他の悪影響を生むもの」に該当すると指摘している。

 「李文亮」「文亮」など4件を出願していた湖南省長沙市の電子商取引会社は2月27日、市当局の要求を受けて出願を撤回。李医師の遺族や社会の人々の心を傷つけたとする「謝罪文」を公表した。

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