ジャカルタレター

コロナで中国産ニンニク高騰 家計直撃

 世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大している中、インドネシアは感染確認者ゼロを更新し続けてきたが、3月2日、とうとう初の感染者が確認された。既に感染が確認されていた日本人女性との接触歴があり、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の報道も含め、日本が中国に次ぐ感染源というイメージが広まった。初の新型コロナ感染者確認から25日発表までに、国内の感染者は686人、死者は55人となった。

 祈りの会で感染

 ジャカルタ特別州は州内の全ての小中学校・高校を休校とし、さまざまなイベントが中止となり、ジョコ大統領が全国に外出自粛を要請するに至っている。さらに、ブディ・カリヤ運輸相が新型コロナに感染したと発表され、大統領やその他閣僚、高官などとの接触の有無に関する追跡調査が行われているという。

 イスラム教の礼拝前に水で体を洗い清める行為「ウドゥ」により、手洗いやうがいを頻繁に行うことは、ウイルス感染の予防につながっているのではないかといわれていたが、感染者との濃厚接触、大人数が密集している場所での感染は防げないようだ。例えば、モスク(イスラム教礼拝所)で行われた宗教イベントが、いわゆる感染「クラスター」となったことからも分かる。

 マレーシアでは、約1万6000人(半数がマレーシア人、インドネシアからの参加者は約700人)が参加した「タブリーグ」の大会での感染拡大のケースが大きなニュースとなっている。これまでに、マレーシアでは同イベントに参加したうち338人の感染が確認され、東南アジア各国からの参加者でも次々に感染が確認されているという。

 タブリーグとは、インド発祥で宣教を活動の中心に据えているイスラム教復興運動団体であり、東南アジアのムスリム(イスラム教徒)の間で非常に人気がある。

 祈りの会が各地で催され、国境を越え布教活動に専念する人々が幅広いネットワークを築いており、インドネシアでも首都圏だけでなく東西隅々にまで影響力を持っている。タブリーグの大会で新型コロナの影響が出たことで、もはや日本が第2の感染源という話題も消え去り、ジャカルタ以外でも、コロナ感染が非常に身近なものになったに違いない。

 観光業など大打撃

 経済にも大きな影響が出始めている。身近なところだと、中国からの輸入に頼っているニンニクの値段が高騰している。

 インドネシア料理には欠かせない「サンバル(チリソース)」などに使用する食材であるだけに、貧しい人々から家計にじわじわと響いているという。

 もちろん、観光業をはじめ、中国と密接に関わっている業種は大打撃を受けている。インドネシア政府は、総額125兆ルピア(約8500億円)規模の緊急経済対策を発表したばかりだ。

 3月に入り、インドネシアも新型コロナはひとごとではなくなってしまった。人の移動・活動が制限され、消費の落ち込みは計り知れない。自国の対策だけでは不十分である。世界規模の恐慌をどのように抑えられるか、各国が協力する時期に来ている。(笹川平和財団 堀場明子)

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 「ASEAN経済通信」 https://www.asean-economy.com/

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