こうなると、今計画されている緊急経済対策では、消費者、生産者、小売業者、そして輸入業者が食糧備蓄を増進する、という観点からの考慮をお願いしたい。
商品券を配るなら、ある割合は食糧備蓄用に使うことを義務付けてはどうだろう。その場合、コメにこだわることもないし、国産にこだわる必要もないと思う。現在、世界の経済システムが凍り付いて負のスパイラルに入ろうとしている。
ここで、日本が食糧輸入を段階的に増やす計画を発表し、食糧生産国に安定供給を要請するならば、正のスパイラルを生み出して、世界に張り巡らされた輸出入のネットワークが息を吹き返すきっかけになるかもしれない。
【プロフィル】戎崎俊一
えびすざき・としかず 理化学研究所戎崎計算宇宙物理研究室主任研究員。東大院天文学専門課程修了、理学博士。東大教養学部助教授などを経て1995年から現職。専門は天体物理学、計算科学。