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「光回線」全国一律を制度化 政府、来春にも案策定

 新型コロナウイルスの感染拡大で遠隔教育やテレワークが注目される中、政府が、光ファイバー回線など高速大容量のインターネット通信ができるブロードバンドを「ユニバーサルサービス」に位置づけ、全国一律の提供を通信事業者に義務付けるための議論に入った。2020年代半ばにもネット利用者から広く薄く徴収し始める案などが浮上している。来春にも制度案を固める方針だ。

 「日本でも全国どこでもアクセスできるインフラとしての制度化が必須だ」

 総務省で3日に開かれた有識者会議では、ブロードバンドの全国一律提供の重要性を指摘する声が相次いだ。

 新型コロナの感染拡大を受け、政府は学校の休校や外出の自粛を要請している。こうした中、教育の現場や企業ではインターネット動画配信による遠隔授業やテレワークの導入が進みつつあるものの、いずれもブロードバンド整備が十分であることが前提だ。

 同省の調査によると、昨年3月末時点で未整備地域が約66万世帯残っている。政府は財政支援などで23年度末までに約18万世帯に減少させる計画だが、その後の回線の維持も課題になっている。

 ただ、ブロードバンドがユニバーサルサービスに指定されると、人口が少ない山間部や離島などでの整備や保守も必要になり、通信事業者の採算が悪化する懸念がある。そこで利用者から負担金を徴収し、不採算地域にブロードバンド回線を持つ事業者に交付金を出し、回線の補修や更新に充てられるようにする方向で調整する。

 通信分野では、NTT東日本と西日本が提供する固定電話網がユニバーサルサービスとされ、交付金制度が設けられている。携帯や固定電話の利用者から月2円を電話代に上乗せして徴収し、維持費に充てられており、ブロードバンドでも、こうした仕組みを参考に制度設計するもようだ。

 有識者会議では、8月までにユニバーサルサービスの対象にするブロードバンド回線の範囲や通信速度といったサービス品質の水準などを定める。その上で、22年の通常国会に電気通信事業法改正案の提出を目指す。

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