ローカリゼーションマップ

イタリア各都市で進む自転車利用 禍転じて…サステナブルな社会への動きも (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 もちろん在宅勤務や時差出勤の促進、シェア電動自転車の普及、歩行者優先などとセットである。

 いずれにせよ何年間もかけ、都心への自家用車の進入制限や路上駐車の有料化によって自家用車から公共交通へのシフト、シェア電動自転車の促進をはかってきたが、市民それぞれの健康を守る(即ち、瞬間的な医療システムへの負荷を避ける)との目的のために、交通システムが変化する可能性が一気に強まったわけである。

 仮に何十年も後になって、イタリア各都市において自転車専用レーンが普及した姿がそのまま存在していたら(自動運転の電気自動車がどう関与してくるかは、別の展開)、観光ガイドは次のように語るのだろう。

 「イタリアは自動車メーカーの政界工作もあり、1950年代以降の経済高度成長時代、公共交通機関の整備が遅れていた。20世紀末頃より環境問題から交通行政の変化が見られたが、それでも21世紀初頭、移動手段としての自家用車の位置は頑固たるものだった。しかし、今はこうして自転車が日々の交通手段として普通になっているのは、2020年のパンデミックを契機としている。これは北欧諸国の自転車の普及とは違ったルートを辿っている」

 さて、すでに自転車文化のある国を別にして、まだ自転車文化が定着していない欧州他国は自転車に対してどのような政策をとってくるだろうか? スウェーデンのように封鎖していない国もあるが、封鎖解除の仕方を各国がお互いに参考にしている。それが今の欧州だ。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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