国内

首相記者会見全文(1)「感染者減少、十分なレベルといえない」

 安倍晋三首相は4日の記者会見で、新型コロナウイルス対策として改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言について、全国を対象に5月31日まで延長した理由などを説明した。会見の全文は以下の通り。

 「緊急事態宣言を発出してから間もなく1カ月となります。最低でも7割、極力8割、人との接触を削減する。この目標のもと、可能な限り、ご自宅で過ごしていただくなど、国民の皆さまには大変なご協力をいただきました。その結果、一時は1日当たり700人近くまで増加した全国の感染者数は、足下では200人程度、3分の1まで減少しました。これは、私たちが収束に向けた道を着実に前進していることを意味します。また、1人の感染者がどれくらいの数の人にうつすかを示す実効再生産数の値も、直近の値も1を下回っています」

 「緊急事態を宣言した4月上旬。1カ月後の未来について、欧米のような感染爆発が起こるのではないか、そうした悲観的な予想もありました。しかし、国民の皆さんの行動は私たちの未来を確実に変えつつあります。わが国では緊急事態を宣言しても欧米のような罰則を伴う強制的な外出規制などはできません。それでも、感染の拡大を回避し、減少へと転じさせることができました。これは、国民の皆さまお1人お1人が強い意志を持って可能な限りの努力を重ねてくださった。その成果であります。協力してくださったすべての国民の皆さまに、心から感謝を申し上げます。その一方で、こうした努力をもうしばらくの間、続けていかなければならないことを、皆さんに率直にお伝えしなければなりません」

 「現時点でまだ感染者の減少が十分なレベルとはいえない。全国で1万人に近い方々がいまだ入院などにより療養中、この1カ月で人工呼吸器による治療を受ける方は3倍に増えました。こうした重症患者は、回復までに長い期間を要することを踏まえれば、医療現場の皆さんが過酷な状況に置かれている現実に変わりはありません。これまでに、500人を超える方々が、感染症によりお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈り申し上げます。1人でも多くの命を救うためには医療支援をさらに重症者治療に集中していく必要があります。1日当たりの新規感染者をもっと減らさなければなりません。このところ全国で毎日100人を超える方々が退院など回復しておられますが、その数字を下回るレベルまで、さらに新規感染者を減らしていく必要があります。そのために、感染者が多く、特に警戒が必要な13都道府県の皆さんには、引き続き極力8割の接触回避のためのご協力をお願いします。東京都では5月になってからも平均で1日100人を超える感染者が確認されています。これまでの努力を無駄にしないためにも、ここで緩むことのないようにお願いをいたします」

=(2)に続く

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