ただ、社債やCPを発行できるのは信用力のある大企業や中堅企業などに限られるため、中小企業の資金繰りはより深刻だ。国内企業数の99%以上を占める中小企業の倒産が相次げば、「新型コロナが収束した後の生産や需要回復にも支障をきたしかねない」(日銀幹部)。このため、資金繰り支援の強化は待ったなしの状況だった。
SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは今回の日銀の措置について「企業倒産の急増を抑制する効果がある」と評価する。ただ、日銀の支援策は返済が必要な「融資」が中心。当面の運転資金をまかなえても感染拡大が長期化すれば企業経営の悪化は避けられず、追加の支援策が必要になる可能性もある。