海外情勢

欧中に陸送の新ルート、デジタル最適化で提供 コロナ分断を補完 (1/2ページ)

 ポストコロナ禍の経済復興に向けた動きが欧州で加速する中、新型コロナウイルスの影響で分断されたサプライチェーン(供給網)を補う新たな輸送ルートが中国と欧州の間に誕生している。事業を維持するために新たな手を打たざるを得なくなった企業側の事情が透けてみえるが、ユーラシアの広大な草原地帯を横断する約1万キロメートルの新ルートの仕掛け人は、ソフトウエアを利用して国際物流をコーディネートする「デジタルフォワーダー」だ。彼らはさまざまな輸送手段の中から顧客に最適な輸送ルートを提供している。

 空路凍結で新規参入

 ドイツの新興物流会社インスタフレイト(ベルリン)はそうしたサービスを手掛ける1社で、米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのコンサルタントだったフィリップ・オートウェイン氏(35)が共同創業者として立ち上げた。オートウェイン氏率いるインスタフレイトは、自社のオンライン予約プラットフォームを活用して中国から部品や機器を輸入する必要のある独企業とトラック運送業者の橋渡しをしている。国内大手企業の一部が起用する同社には、英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルのベンチャー部門やロケット・インターネットが資金を拠出している。

 コロナ危機前のインスタフレイトの事業は、もっぱら欧州大陸におけるトラック宅配委託に限られていた。だが今年3月に新型コロナ感染症の拡大で空輸が凍結されて輸入が滞ると、オートウェイン氏は取引先1万2000の配送業者に新規参入余地があると判断した。同氏は取材に対し、企業は電子部品など主要供給品を入手しようと必死なのに、航空業界の輸送能力は大きく落ちたと話す。

 欧州全土で新型コロナ感染症による死亡者数がまだ増えていた4月6日、インスタフレイトは自社に登録された運送業者に対し、中国からの輸送業務委託の募集を開始した。数日のうちに、トラックや大型トレーラーの運送会社が多数、オンライン入札に応じた。

 中国からドイツに到着するまでに、カザフスタン、モンゴル、ロシア、ベラルーシ、ポーランドを経由する新たな輸送ルートは6000マイル(約9656キロメートル)近くあり、ニューヨークからロサンゼルスまで車で移動する距離のほぼ2倍に相当する。オートウェイン氏によると、3週間かけて新シルクロードの一部を横断するこの長いルートにはすでに多数の運搬車が走行しており、もうすぐ数百台が追加参入するという。

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