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クールジャパンは欧州ラグジュアリー戦略を参考にできる 試される総合力 (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 この1年、ラグジュアリーの次の方向、即ち新しいラグジュアリーの意味についてリサーチを続けている。4月にも「ラグジュアリーはモリスに回帰 社会性の高いクラフト感覚が求められる」とのコラムをここに書いたばかりだ。

 欧州におけるラグジュアリーの動向を見ていて、前述したクールジャパン政策との関連を思い出したのだ。EUが2012年からラグジュアリーやハイエンドをバックアップしはじめたのは、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、英国のそれぞれ各国にある高級ブランド企業が集まった財団なりが連携してEUにロビー活動をした結果だった。

 それまでも各企業や各国の組織が独自に動いていたが、EU域外へのアプローチやニセモノ商品の排除といった面でのEUの協力を求めたのである。2012年時点のラグジュアリー市場は、当該市場の規模的幕開けとされる1990年中ごろと比較して2倍以上のサイズに拡大していたため、数々の問題が噴出していたのでもあった。

 つまりある程度のビジネスが回っているところで交通整理をし、より戦略的な拡大を目指す必要があったと考えてよいだろう。それに対して、クールジャパンはアニメや食など個々に「伸びるかもしれない、あるいは伸びて欲しい」商材を育てる戦略であったと捉えられる。

 したがって、欧州と日本で似たようなソフトパワー政策を取りながら、まったく異なった背景に基づいていた。だが、今、これらを対比してみると、クールジャパンが欧州のラグジュアリー戦略を参考にできる点は多いとあらためて思う。

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