海外情勢

欧州観光業界 “斬新なアイデア”打ち出し攻める夏、再起を占う試金石 (1/2ページ)

 夏の行楽シーズンを前に、欧州各国で観光業界の事業再開に向けた取り組みが広がっている。同業界が新型コロナウイルスによって大打撃を被っている中、書き入れ時である夏のバカンス期の収入を死守することで再起に向けた道筋をつけたい考えだ。一方、事業再開によって新型コロナ感染の「第2波」到来のリスクが高まる恐れもあり、観光客が安心できる受け入れ環境の整備が不可欠となる。

 宿泊無償化打ち出す

 欧州経済の約1割を占める観光業は新型コロナにより過去にない大きな打撃を被り、数百万人もの雇用が危機に瀕している。欧州33カ国の政府観光局が加盟する欧州旅行委員会(ETC)によると、今年の旅行需要は約40%落ち込み、2023年になるまでコロナ危機前の水準を回復できない見通しだ。

 欧州当局は観光業へのさらなる打撃を阻止するため、約2カ月に及んだ新型コロナ対策規制の緩和を急いでいる。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は5月、観光業界の復興に向けたガイドラインを発表し、国境封鎖の解除や、感染者の追跡アプリの導入などを加盟国に要請。これを受け、感染率が低いドイツなどの国々が地域間の渡航協定を結ぶなど事業再開の後押しに動き始めた。

 欧州諸国の中でも特に観光依存度の高いギリシャは夏の観光の再開が死活問題となっている。早期の封じ込めに成功したギリシャ政府は5月、アテネへの国際線乗り入れを解禁する方針を発表し、各地のビーチも再開した。

 観光業の起死回生に向けて尽力するミコノス島のコスタス・コーカス市長は「住民は経済的損失を抑えるだけにとどまらず、観光が生活そのものだとして事業再開を訴えている。今夏での正常化が厳しいのは確実だが、再開は次のシーズンにつなげる架け橋として非常に重要だ」と語った。

 一方、スイス当局は同国が自然豊かで牧歌的なイメージを獲得していることが、観光地域として優位な競争力をもたらすと期待している。同国の新たなマーケティング戦略では家計管理に慎重な子連れの家族や、外出自粛のストレス解消を求めるカップルなど、ロックダウン(都市封鎖)解除後の消費者に的を絞っている。

 国内総生産(GDP)の約12%を観光業が占めるオーストリアでは、一部の起業家が宿泊料金の無償化や、哲学や文学に関するイベントの開催など、集客強化に向けた斬新なアイデアを打ち出している。同国のシュヴァルツェンベルクの老舗ホテル「ヒルスケン」を所有するピーター・フェッツ氏は「困難な状況であることは間違いないが、私たちは若く創造力があり、乗り越えることができるはずだ」と力を込めた。

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