国内

マグロ資源回復目標達成へ 24年4万トン、漁獲枠拡大は依然不透明

 資源枯渇が懸念されている太平洋クロマグロについて、国際機関がまとめた最新の資源評価が8日までに分かった。親魚の量は2016年は推定2万5000トンだったが、直近の18年は2万8000トンまで回復。10年に過去最低の1万1000トンに落ち込んで以降、緩やかに回復しており、24年までに約4万トンに戻すという当面の目標を達成する確率も初めて「100%」と予測した。

 これにより、例年夏に開かれている国際会議で日本が求める漁獲枠の拡大を前向きに議論する条件が整うことになった。ただ依然として資源が低水準にあることには変わりなく、新型コロナウイルスの影響で会議の開催自体が危ぶまれていることもあり、増枠実現は不透明な状況だ。

 高級すしネタや刺し身として人気の太平洋クロマグロは乱獲などで資源量が減少。資源管理のため厳しい漁獲規制が実施され、2年ごとに資源量の評価が行われている。今回の評価は日米などが参加する「北太平洋まぐろ類国際科学小委員会(ISC)」が今年3月、各国の漁獲データなどを基に算出した。

 24年までに約4万トンに回復させる国際目標の達成確率は、前回評価時は98%だったが、今回100%に上昇した。仮に各国の漁獲枠を1割拡大したとしても、目標達成確率は100%で変わらず、2割増やした場合でも99%の高い確率を維持すると試算。国際ルールで漁獲枠の拡大を検討できる水準に達した。

 ただ、資源量はまだピーク時の1961年の15万6000トンには遠く及ばず、歴史的には依然として低水準にある。日本は資源管理を担う国際会議で漁獲枠の拡大を求めてきたが、昨年も米国などが「時期尚早」と反対し、実現していない。今後も厳しい交渉が続くことに変わりはなさそうだ。

 水産庁によると、今年の会議は7月下旬に福岡で開催予定だが、新型コロナの影響で見通しは立っていないという。

                    ◇

【用語解説】クロマグロの資源管理

 乱獲などで太平洋クロマグロが激減したため、漁業国が漁獲上限を設けて回復に取り組んでいる措置。日本の主漁場の海域を管理する「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」は2015年、30キロ以上の大型魚の漁獲上限を02~04年平均の水準までに抑え、30キロ未満の小型魚を半減とする規制を導入した。こうした措置に基づき国内でも大型魚と小型魚ごとに、漁法別や都道府県別に漁獲枠を配分している。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus