海外情勢

「香港」めぐり英中緊迫で深刻な対立に 英5GもファーウェイからNECに

 中国が香港への国家安全法制の導入方針を決めたことを機に英中関係が急速に悪化している。英政府は香港市民約300万人に市民権を与えると表明。また第5世代(5G)移動通信網構築計画をめぐり中国・華為技術(ファーウェイ)製品の採用を取りやめ、日本のNEC製品などを採用する考えだ。中国が猛反発し、深刻な対立に発展するのは避けられない情勢だ。

 ジョンソン政権が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて中国に対する姿勢を修正する中で、英政府はファーウェイ製品の採用方針見直しに動き始めた。ファーウェイへの依存を解消するため英国内の5G通信網向け供給メーカーの多様化に向け、NECとの協議を行った。関係者によると、重要な5Gインフラを供給会社としてサムスン電子も候補に挙がっているという。

 英国によるファーウェイ製品への見直しはカナダやドイツなどの米国の同盟国にも広がる可能性がある。関係者によると、今週、カナダの通信大手ベル・カナダやテラスがスウェーデンの通信機器大手エリクソンとフィンランドの同業ノキアの5G機器を採用したほか、ドイツの通信会社テレフォニカ・ジャーマニーもエリクソン製品の採用を決めた。

 英ジョンソン政権は1月、5G網の一部向けにファーウェイが機器を供給することを承認し、ファーウェイ製品の排除を呼び掛けるトランプ米大統領の反発を招いた。ただ、コロナ危機を経てジョンソン首相と側近らの中国に対する態度は懐疑的なものに変わりつつある。

 市民300万人に門戸

 中国への英国の見方が転換する契機となったのが、中国政府が、香港の統制強化に向け国家安全法制を導入する方針を決めたことだ。この方針に対し欧州連合(EU)は「深刻な懸念」を表明する声明を発表しただけだった。これに対し、英国は中国が香港への国家安全法制の導入を強行すれば、最大300万人の香港市民に英国で新しい生活を切り開く機会を与える意向を明らかにした。

 ジョンソン英首相は英タイムズ紙への寄稿で、国家安全法制の導入を進めれば、「英国は良心に従い、肩をすくめて立ち去るわけにはいかない。代わりに責任を果たすべく、選択肢を提供する」と言明した。

 中国反発「内政干渉」

 国家安全法制の再考を促す英国に対し、中国政府は1997年に香港が返還された際の合意事項はすべて履行していると反発。中国外務省の趙立堅報道官は3日の記者会見で、ジョンソン首相の発言は内政干渉であり、こうした干渉を続ければ「しっぺ返し」を食らうことになると牽制(けんせい)した。

 ただ、英国のこうした対抗姿勢が実りあるものになるかどうかは分からない。結局のところ、英国は6500万人の国民を抱える小国にすぎず、パンデミック後のEUとの通商合意の成立を模索する中で経済は弱体化している。これに対し、約14億人を抱える中国は米政府の脅しをものともしていない。(ブルームバーグ Alan Crawford)

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