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2次補正、光回線整備を2年前倒し テレワークや遠隔教育で急務に 

 政府は高速大容量のインターネット通信ができる光ファイバー回線の整備計画を当初より2年前倒しし、来年度中にほぼすべての世帯に光回線を普及させる。新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークや遠隔教育の需要が高まり、高速通信網の整備は急務となっているからだ。今後のオンライン診療などの普及に備える狙いもある。

 12日に成立した令和2年度第2次補正予算には、光回線の整備を推進するための費用として501億6千万円を盛り込んだ。2年度当初予算(52億7千万円)の約10倍、1次補正予算(30億3千万円)と比べると約17倍にのぼる大規模な予算を計上し、一気に整備を加速させる。

 自治体が光回線を整備する場合は費用の3分の2から半分、通信会社やケーブルテレビ会社など民間事業者が整備する際は半分から3分の1を国が補助する。当初予算では対象を過疎地や離島などに限定していたが、2次補正では財政力や人口密度が低い地域も加えて、光回線が未整備のほぼすべての地域を支援する方針に転換した。

 「コロナ禍を受けた『新たな日常』に必要な基盤の整備が急務だ」と総務省の担当者は説明する。教育の現場や企業ではネット動画配信による遠隔授業やテレワークの導入が進み、コロナ後も生活への定着が見込まれるが、いずれも全国に高速通信網が十分整備されていることが前提になる。

 総務省の調査によると、光回線が未整備の地域には平成30年度末時点で約66万世帯が暮らしている。政府は令和5年度末までにこれを約18万世帯に減らすインフラ整備のロードマップを描いていたが、前倒しして3年度末での計画達成を狙う。

 光回線は携帯電話の通信網を構成する基地局同士をつないでいることから、今後普及が見込まれる第5世代(5G)移動通信システムの基盤になるインフラでもある。光回線網の整備には「当然、5Gを見据えた戦略も込められている」(総務省担当者)といい、5Gを活用した遠隔医療や自動運転、機械の遠隔操作などを円滑に立ち上げていくための布石でもありそうだ。(万福博之)

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