海外情勢

米の景気後退は最短? 最長の拡大局面2月に終了も既に景気回復の兆候

 景気循環を判定する全米経済研究所(NBER)は6月8日、過去最長となった米国の景気拡大局面が今年2月に終了したと判断し、新型コロナウイルス感染拡大に端を発したリセッション(景気後退)入りを正式に宣言した。ただ、既に景気回復の兆候が出ており、専門家の間には、今回のリセッションが通常より短くなる可能性があるとの見方が浮上している。

 既に回復の兆候

 NBERで景気循環の日付認定に当たる委員会は同日、ウェブサイトに「委員会は米国における月間の経済活動が2020年2月でピークを迎えたと判断した」との声明を発表。「雇用と生産の減少がもたらした未曽有(みぞう)の衝撃と、それが経済全体に広く及んだことを勘案すると、たとえこれまでの景気後退と比べて短期間で終了するとしても、この出来事をリセッションに指定することは正当だ」と説明した。

 NBERによると、直近の景気拡大は10年8カ月間続き、1854年に遡(さかのぼ)る米国の景気循環の歴史で最長。先月の予想外の雇用の増加など、回復の兆候が既に明らかなことから、リセッションが通常より短い可能性があるとした。こうした兆候が続けば、リセッションの持続期間は数カ月だけにとどまる可能性もあるという。

 景気循環の日付認定に当たる委員会のメンバーで、ハーバード大学のジェームズ・ストック教授(経済学)は「4月半ば以降、経済に改善があるようだ」と指摘。「今後の動向は政策、特に疫学的政策と、新型コロナ感染の行方に左右される」との見解を示した。

 ストック氏はまた、感染の「第2波」が景気回復を阻み、リセッションを長期化させ、短期的な失業を長期的な失業に変え、経営破綻の波を招く可能性を懸念していると述べた。エコノミストの一部には、金融危機後の10年余りに及ぶ景気拡大が抑制的なペースだったのと同様、今回の回復も力強さに欠けるとの不安もある。

 比較的容易に判定

 ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者、ライアン・スウィート氏は「技術的には、リセッションは記録上、最も深く、最も短い形で終わる可能性がある。経済成長が再開してリセッションの技術的な終わりを記したとしても、多くの企業や個人には今後数年間はリセッションのように感じられるだろう」と予想した。

 NBERは「委員会は景気収縮の深さとその期間、および経済活動が経済全体で広く落ち込んだかどうかを検討」した上で、新型コロナの「パンデミック(世界的大流行)と公衆衛生上の対応が、以前とは異なる特徴と動態を伴うリセッションをもたらしたと認識する」と説明した。

 委員会が通常、リセッション入りを宣言するのは、景気のピークの半年から1年半後だが、メンバーによると、雇用の記録的落ち込みといった景気下降の深刻さを根拠に、審議を長引かせることなく比較的容易に判定ができたという。(ブルームバーグ Scott Lanman)

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