海外情勢

馬が大量死…半世紀ぶり「アフリカ馬疫」 人間も殺す可能性に戦々恐々 (1/2ページ)

 タイでは2月以降、「アフリカ馬疫(AHS)」で500頭以上の馬が死亡している。この病気は吸血昆虫が媒介するウマ科動物のウイルス性感染症で、人間に害を及ぼすかは定かでない。アフリカではシマウマなどウマ科動物に伝染する事例があったものの、アジアにおいては50年余りの間発生していなかった。それだけに、世界の公衆衛生コミュニティーに野生動物取引の潜在的な危険性に対する新たなメッセージを発した格好だ。

 人間も殺す可能性?

 人間が罹患(りかん)する新興感染症の約7割は人獣共通で、動物から人へ感染する。コウモリ由来と考えられた新型コロナウイルスの感染症(COVID19)が深刻化したことを受け、米国やオーストラリアなど各国政府は、ウイルスが種の壁を越えて感染を広げる前に感染の可能性を検出するため、動物や人間、環境の間の関係を研究する資金の増額に駆り立てられている。

 1980年以降、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱、後天性免疫不全症候群(エイズ)、そして新型コロナウイルス感染症と、野生動物の取引絡みで4件のパンデミック(世界的大流行)あるいは国際的な集団発生があった。このほかにも羊や牛など反芻(はんすう)動物が感染する青舌病や鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱(ASF)といった動物の疫病は、疾病コストの増大に拍車をかけた。

 国際獣疫事務局(OIE)のオーストラリア担当最高獣医官でプレジデントのマーク・スキップ氏は「世界のバイオセキュリティー(防疫対策)は重要だ。いったん感染症が発生したら、非常に資金負担がかかり、根絶するのは困難で、他の国や地域に拡大し得る」と強調する。

 専門家グループは5月16日の医学雑誌ランセットに掲載された論文で、気候変動や人口増大、大量消費、貧困、紛争、(人や動物の)移動は全て、今の世界の公衆衛生問題を拡散する要因だと指摘し、新型コロナ感染症の調査に向けた学際的連携を呼びかけた。

 タイでは新型コロナ感染症を抑制するためのロックダウン(都市封鎖)中に突然、馬の死亡が多発したことで、研究者らはその原因がコウモリに由来する別の致死性ウイルスによるもので、人間を殺す可能性があるのではないかと戦々恐々とした。

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