海外情勢

米経済、好転への道なお長い FRB議長は雇用回復期入り示唆

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は16日、米国の雇用が顕著な回復期に入りつつある可能性はあると指摘。ただ回復しても、新型コロナウイルス感染症(COVID19)がパンデミック(世界的大流行)となる前の高い水準には「遠く及ばない」との見解を示した。

 同日の上院銀行委員会でビデオを通じ「この第2の段階では多くの人が仕事を取り戻すとわれわれはみている。持ち直し、ないし回復の始まりと呼べる状況になるだろう」と発言した。

 その上で、「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考えていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」と述べた。

 こうした認識は、このところ明るいニュースが増えている米経済に関して、パウエル議長がなお慎重姿勢を維持していることを示す。議長は、パンデミックで大きな打撃を受けた経済が好転するには、まだ長い道のりが残っていると強調した。

 冒頭証言では、「最近は一部の指標が経済活動の安定化を示し、一部の領域では緩やかな回復も見られる」と指摘。その上で「生産と雇用の水準はなお、パンデミック前の水準を極めて大きく下回っており、回復の時期と力強さに関しては著しい不透明感が残っている」と加えた。

 質疑応答では、低所得層や黒人に対する経済面での不平等や失業率について議員からの質問が相次いだ。警察の暴力や人種差別に抗議する全国的なデモ活動も背景にある。

 パウエル議長は雇用喪失の影響が低所得層とマイノリティーに不釣り合いな割合で集中しているとの認識を示し、経済的余裕の最も少ない人々が、経済的な痛みを最もひどく受けていると指摘。「新型コロナが抑えられ状況が好転しなければ、長期の景気拡大で多少是正された経済格差が、景気低迷により一段と拡大することになりかねない」と述べた。

 金融当局は3月半ば以降、政策金利をゼロ付近に引き下げ、信用市場を落ち着かせるため数兆ドルに上る債券を購入。また家計や企業、州政府・地方自治体を支援するため9つの緊急融資プログラムを打ち出した。

 議会証言ではこれまで講じた措置を説明した上で、「この困難な時期に経済を支援するため、あらゆる手段を活用していく」と、政策当局の決意を改めて表明した。(ブルームバーグ Christopher Condon)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus