海外情勢

習氏襲う“第2波”恐怖 北京でコロナ拡大懸念、経済回復に水

 中国共産党のお膝元である北京市で18日、再拡大した新型コロナウイルスへの感染例が21件増えて150件を突破し、湖北省武漢市での感染拡大以来となる増勢を記録した。市は一部住民の市外への移動を禁止した。第2波の感染が起これば、始まったばかりの中国の景気回復に水を差しかねない。習近平国家主席は大きな試練に直面している。

 北京市公安局の潘緒宏副局長は同日記者会見し、新型コロナ感染再拡大で市外への移動を厳しく管理しているものの、これは北京が封鎖されていることを意味するものではないと強調した。移動規制は、感染が確認された人や疑い例、感染者との濃厚接触者らに加え、中・高リスク地域に居住する住民らに限られているという。

 個人の責任問題

 習主席は今年1月、初期対応のまずさで悪戦苦闘していた武漢市幹部に代わり、新型コロナ対策の陣頭指揮を執った。対策のあらゆる面で個人的に責任を負うと宣言した経緯があり、北京の感染再拡大により、「欧米諸国に比べ、より適切に対応した」とする中国の主張に傷が付きかねない。

 ここ数年、習氏は自らを「全面主席」と位置付け、複雑な問題に一人で対処しようとしている。新型コロナをめぐる一連の問題への対応を誤れば個人としての責任を問われかねない。

 上海政法学院の元教授で政治コメンテーターの陳道銀氏は「習主席は国内経済の減速と欧米全体から徐々に孤立させられるという国外からの圧力に対して慎重にかじ取りをする必要があり、正念場を迎えている。独自モデルが再び成功したことを中国が示せば、国内外からの評価を高めることになる」と話す。

 陳氏は「パンデミックが中国と西側諸国との関係を根本的に変えた。中国は世界的なサプライチェーン(供給網)崩壊の脅威や欧米との新冷戦の可能性、強権統治と自由な世界というイデオロギーとの衝突に見舞われている。習主席は、こうした苦境にある中国をどうかじ取りするのか示さなければならない」と語った。

 成功が帳消しに

 武漢市を中心に新型コロナ感染が拡大していた2月、習主席は共産党内での演説で、多大な経済的、社会的費用をかけて湖北省約6000万の住民を対象としたロックダウン(都市封鎖)を命じるなど、政府対応を個人的に主導していることを明らかにした。こうした演説が公表されるのは珍しい。その数カ月後、習氏の対応の有効性が示された。当局による厳格な検疫、監視、検査の実施に伴い、新たな感染例は減少。世界中の国や地域が新型コロナの封じ込めに苦戦する中、地元当局の初期対応に対する国民の怒りは自国を誇る気持ちへと変わった。

 こうした中、北京市での感染再拡大で過去の成功が帳消しになる可能性がある。市内最大の卸売市場に端を発した感染は、少なくともすでに4省に拡大している。

 それでも北京市はこれまでのところ、武漢市や東北部に導入したような市全域の封鎖まで踏み込んでいない。1日当たり9万件以上の検査が可能となり、住民の携帯電話を通じて感染リスクを表示する「健康コード」システムが導入された。

 モルガン・スタンレー・アジアの中国担当チーフエコノミスト、ロビン・シン氏は「第2波は第1波よりも管理が容易だ。より積極的な監視や検査体制の改善、接触者の追跡の結果、大規模なロックダウンではなく、選択的なロックダウンにつながる可能性が高い。公衆衛生上の課題を抑制しながら中国の大部分の地域での経済活動再開が可能になるだろう」との見方を示した。(ブルームバーグ Sharon Chen、Jing Li)

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