海外情勢

南米で新型コロナ大感染、金属供給に懸念 労働者の厳格隔離・鉱山閉鎖リスク (1/2ページ)

 巨大鉱山を擁する南米のブラジルやチリが新たに新型コロナウイルスの大感染地となり、鉄鉱石や銅の供給不足が危惧されている。中国で春節(旧正月)後も工場閉鎖を継続する決定がなされた際には、需要激減を危惧する南米の鉱山に衝撃が走ったが、今回は供給サイドの懸念が浮上した。

 市場に再び緊張感

 チリは世界最大の銅の輸出国で、ブラジルは鉄鉱石輸出で世界第2位。中国で需要が回復し需給が引き締まる中での南米の感染爆発に、金属取引市場は再び緊張感に包まれている。鉄鉱石のスポット価格は5月29日、中国製鉄大手が旺盛な需要を維持できる見通しが立ったタイミングでのブラジルでの感染拡大を受け、1トン=100ドルの大台を超えた。

 鉄鉱石を生産・販売するブラジルの資源大手ヴァーレやチリ銅公社のコデルコなどの鉱業大手は感染に対する安全策を取り、生産に後れを出すことなく稼働を継続している。また、閉鎖されていたその他の南米の鉱山では操業を再開している。食肉加工業などに比べ鉱業は感染率が低いことに助けられた。

 だが状況は変化している。5月末にはブラジルの感染者数が米国を上回り、世界の鉄鉱石供給量の8%を賄う北部パラー州にも感染が拡大。ヴァーレは4月に天候不良と感染拡大の影響を加味し出荷計画量を下方修正していた。

 米金融大手シティグループのアナリスト、トレイシー・リャオ氏らは「鉱業は必要不可欠な産業として現在は稼働が許可されている。だが、労働者に感染者が増えればより厳格な隔離措置が取られ、生産が制限されたり鉱山が閉鎖されたりする可能性もあり、数週間内に鉄鉱石供給量に実質的な影響が出るリスクがある」と指摘する。

 同社は「この2カ月間、中国の鉄鉱石需要は顕著に増加し在庫も減少が続いている。このため鉄鉱石価格は当初予測よりも上昇傾向が長引く可能性もある」としながらも、ヴァーレの感染対策が奏功するとの予測に基づき、鉄鉱石価格は2020年末までに1トン=70ドルまで下落するとみる。

 ヴァーレは、感染拡大による労働者の休業増加やブラジル政府による規制強化を織り込み、年間の生産計画量が3億1000万~3億3000万トンになるとの見通しを示した。同社は関連企業への金融支援のほか、同社が事業を展開する地域へ医療器具を輸入し提供している。

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