国内

増えるオーケストラのライブ配信 コロナ後の「事業の柱」と期待 (1/2ページ)

 オーケストラがコンサートのライブ配信に積極的に取り組み始めている。新型コロナウイルスの感染拡大で、コンサート自粛を余儀なくされてきたオーケストラは今月から活動再開を始めているが、依然、イベントの開催制限は続くことからライブ配信を活用したい考えだ。関係者は「あらたな事業の柱になる」とも期待。これまでクラシック音楽に親しみのなかった人へのアプローチ策としても有効と考えられている。

 力強い味方に

 「ライブ配信は力強い味方になると実感しました」

 大阪フィルハーモニー交響楽団は3月19日、新型コロナの感染拡大を受けて、フェスティバルホール(大阪市北区)で開催予定だった定期演奏会を急遽(きゅうきょ)、無観客で行い、無料でライブ配信した。19万4千アクセスは、事務局次長の福山修さんを驚かせた。というのも、通常では約3千人の客席が満席になることすら珍しいからだ。配信の詳細を告知したのは本番のわずか3日前だったが、リツイートが相次ぎ、予想以上の数字に潜在的なファンの多さを実感した。

 「ライブですから思わぬミスもある。配信前は、正直、批判的に受け止められるかも、といった心配がありました」と明かす。しかし、寄せられたコメントには「さすが大フィル」「ライブに行きたくなる」などの好意的な言葉が並んだ。舞台上で額に汗しながら音楽に集中する音楽家の熱意がインターネット越しに伝わった手応えを感じた。

 大阪フィルは2月から6月にかけて、50公演以上の中止、延期が決定し、その間、収入は断たれた。今月からコンサート活動を再開したが、観客数を絞らなければならず、苦しい経営は続く。新規顧客の開拓のためにも今後もライブ配信を活用していく方針で、今後は賛同を得られれば課金できる「投げ銭」の仕組みも導入することも検討する。

 楽屋を探訪

 今年2月以降、コンサートが軒並み中止となる中、クラシック専門の配信サービス「カーテンコール」は、大阪フィルをはじめ、京都市交響楽団、山形交響楽団などの無観客コンサートを配信してきた。昨年秋から事業を始め、今年10月にサイトを本格化させる予定だが、コロナの影響で配信事業は先行して進める。

 運営する「12DO」(東京都大田区)社長の酒井光一さんは「全国のオケや自治体ホールから一緒に仕事がしたいと問い合わせも多くいただいています」と話す。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus