海外情勢

香港国家安全法を可決 中国きょう施行 米は機密技術の輸出禁止

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は30日、香港国家安全法制の柱となる「香港国家安全維持法」草案を全会一致で可決した。中国への香港返還記念日である7月1日に施行される。米トランプ政権はこれに先立ち、香港の貿易上の優遇措置廃止の一環として、香港への機密技術の輸出を禁じると発表し、米中対立が一段と激化することになった。

 台湾は変化注視

 北京で6月28日再開した全人代常務委は政権転覆と国家分裂、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為を罰する同法制を審議していた。台湾政府は30日、香港国家安全法制の可決を受け、香港の変化を注視していくと表明した。

 香港の林鄭月娥長官は同日の定例記者会見で、同法をめぐり多くの懸念があるという点は認めた。米国による制裁については「おびえることはない。われわれはそのような行動によって妨げられることはない」と語った。香港の民主活動家、黄之鋒氏が創設に関わった政治団体「香港衆志」は30日、解散し同日から全ての活動を停止すると発表した。

 一方、トランプ政権は6月29日、対中圧力を強化し、香港への機密技術の輸出を困難にする措置を打ち出した。

 ロス商務長官は声明で「中国共産党による香港への新たな治安措置の導入に伴い香港の自治が損なわれる一方で、米国の慎重に扱うべき技術が人民解放軍や国家安全省に流用されるリスクが高まる」と指摘した。

 その上で「輸出ライセンスに関する例外措置など、香港への優遇措置を認める規制を停止するとともに、中国を対象にしたのとは異なった香港への措置を廃止するためのさらなる行動も検討されている」と説明した。

 機密技術の香港向け輸出は従来、中国本土向け輸出とは異なる扱いがされており、中国本土向けでは輸出業者は特別なライセンスを申請する必要がある。こうした優遇措置は、1997年の香港返還から少なくとも50年間にわたり人権擁護や自由市場、独立した司法といった香港の「高度の自治」を維持することに中国が同意したことを受けて導入されていた。

 トランプ大統領は5月29日、香港に対して本土と異なる優遇措置を与える例外措置の廃止手続きに着手すると表明。軍民両用技術への輸出管理など香港との取り決め全般を対象とする考えを示していた。米国の輸出業者は面倒な申請手続きを求められる。

 国有4行に制裁も

 香港国家安全法制をめぐっては、既に米上院が先週、対中制裁法案を可決している。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によると、中国が30日に香港国家安全法制を可決したことにより、中国国有の4大銀行が集めた約1兆1000億ドル(約118兆円)のドル資金が危険にさらされる見通しだ。

 香港国家安全法制の制定に関与する中国当局者と取引のある銀行に制裁を発動する超党派の法案は米下院も承認。トランプ大統領が署名すれば成立する。

 BIの香港在勤シニアアナリスト、フランシス・チャン氏は30日のリポートで、この法案は金融機関に制裁対象となる当局者への口座提供を禁じるものだが、こうした当局者の多くが中国の大手銀行を利用していると想定され得ると指摘。制裁違反と認定された銀行は、米国の金融システムへのアクセスが断ち切られる可能性があるとの見方を示した。(ブルームバーグ Natalie Lung、Ben Livesey)

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