厚生労働省が7日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、残業代など1人当たりの所定外給与は前年同月比25.8%減の1万4601円で、比較可能な2013年1月以来、最も大きく下げた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、減少幅は3カ月連続で過去最大を更新した。
厚労省の担当者は「新型コロナの影響が続いており、所定外給与の減少が4月調査より顕著となった」と指摘。政府の緊急事態宣言発令で休業を余儀なくされるなどした飲食サービス業や理美容など、生活関連サービス業を中心に下げ幅が拡大した。
調査によると、所定外労働時間(残業時間)は全ての産業で減り、29.7%の減少となった。残業代は生活関連サービス業で57.8%減り4339円、飲食サービス業で55.7%減り3333円。製造業は35.3%減の1万9981円で前月よりも落ち込んだ。
残業代のマイナス幅は正社員(26.2%減)よりパートタイム労働者(33.1%減)の方が大きい状態が続いたが、4月調査に比べ差が縮小した。生活関連サービス業のパートは減少率が65.4%と業種別で最も大きく、1093円となった。
これらの結果、基本給や残業代を合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は2.1%減り26万9341円となった。減少は2カ月連続で、15年6月の2.4%減以来の下げ幅となった。物価の影響を加味した実質賃金は3カ月連続減となるマイナス2.1%だった。