専欄

中国の「コロナ後」課題 “トゥキディデスのわな”避けつつ米国に迫る

 元滋賀県立大学教授・荒井利明

 新型コロナウイルスの感染状況は各国一様ではない。中国はいち早く「コロナ後」の時代に入ったかにみえるが、米国やブラジルなどの状況をみると、世界がいつ「コロナ後」の時代を迎えるかは不透明である。

 コロナ対策の「中国モデル」の核心は徹底した検査にある。武漢での全員検査が示すように、検査によって感染者と非感染者を峻別し、感染者を隔離して非感染者だけが社会的、経済的活動を行えば、少なくとも理論的には感染拡大のリスクはない。その成果が第2四半期における国内総生産(GDP)の3.2%のプラス成長だろう。

 「コロナ後」の中国にとっては「コロナ前」と同様、いやそれ以上に、米国との関係が頭を悩ませる問題である。党中央対外連絡部の元副部長、周力は、中国が今後直面するであろう「六大外部リスク」の筆頭に米中関係のさらなる悪化を取り上げ、それに十分備えねばならないと主張している(「中国社会科学報」6月22日付)。

 コロナ対策に失敗したトランプは今秋の大統領選をにらんで、華為技術(ファーウェイ)や香港、南シナ海などの問題で対中強硬策をとり、「米国か中国か」の踏み絵を各国に迫っている。

 中国共産党機関紙「人民日報」の系列紙「環球時報」の社説(7月15日付)は、「米国は東南アジア諸国連合(ASEAN)各国を中国封じ込め戦略の兵士に仕立て上げようとしている」と指摘し、「ASEAN各国が中国との協力を深め、ともに未来に向けて歩むことを望む」と述べている。

 また別の社説(7月13日付)は、米国はかつてソ連に対してそうしたように、欧州を巻き込んで中国に対抗しようとしているが、それは「夢」でしかないと主張している。そして、「中国は西側の国・社会との価値観の摩擦を緩和し、衝突の機会を減らすことが重要な課題」と述べている。

 元外務次官で清華大学戦略・安全研究センター主任の傅瑩(ふえい)は、世界各国は米中どちらかの側に付くよう迫られることを望んではいないと指摘し、「コロナ後」の時代において、中国は「グローバルな協力に有利なことを語り、協力に有利なことをなすべき」と主張している(「参考消息」紙4月27日付)。

 中国は多国間主義と人類運命共同体構築の旗を掲げて「トゥキディデスのわな」に陥るのを避けつつ、総合国力で米国に迫るよう努めるのだろう。(敬称略)

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