海外情勢

釜山港休業で観光産業に影 韓国 日本客急減、コロナ追い打ち

 新型コロナウイルス感染症の影響で日韓をつなぐ旅客船の運航が途絶え、韓国の海の玄関口だった南部、釜山(プサン)港は開店休業の状況だ。九州などとつなぎ気軽に往来できると人気だったが、韓国で昨年起こった日本製品の不買運動の影響で利用客が減っていたところに新型コロナが追い打ちを掛けた。人の行き来が失われ、日韓の観光産業に影を落としている。

 釜山地方海洋水産庁によると、釜山港と大阪、下関(山口県)、博多(福岡市)、対馬(長崎県)の各港を結ぶ旅客船の利用客は、日本政府が韓国向けの輸出規制強化を始めた昨年7月から急激に減り始め、9、10月には前年同月のおよそ8割減に。年末に持ち直していたが、今年に入って感染症が直撃した。

 特に毎月7万人前後の利用客があった人気の対馬航路は昨年10月に約6000人にまで落ち込み、今年3月は約400人にとどまった。4月からは旅客船の運航が完全に途絶え、各航路とも利用客の実績はゼロが並ぶ。

 6月末、取材で訪れた釜山港の国際旅客ターミナルは人けがなく、発着時刻を伝える電光掲示板は全て空欄。フェリー会社の窓口も閉鎖されていた。「全く商売にならないよ」。暇そうに客待ちをしていた60代のタクシー運転手、孫俊勤さんがこぼした。

 観光地として有名なターミナル周辺の水産市場も例年と比べてにぎわいを欠く。長年、特産の海鮮料理を振る舞ってきた屋台の60代女性店主、金賢姫さんは「毎年2~3回は訪れる日本の常連客がいたが、昨年から急に顔を見なくなった。コロナだけでなく韓日関係の悪化もあるのだろう」。

 釜山と山口県下関市を結ぶ関釜フェリー(下関市)は新型コロナ対策として3月から旅客を乗せた運航をやめて貨物だけを扱う。同社は今年6月の就航50周年に合わせて韓国側と記念行事を予定していたが、この計画も暗礁に乗り上げた状態だという。同社の担当者は「経営も厳しく、両国政府が早期に人の往来を再開してくれることを願っている」と話した。(釜山、ソウル 共同)

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