海外情勢

新たな「金ブーム」に期待、産金業界が探鉱再開の動きを加速

 ブーム継続見込み探鉱再開

 金先物価格が28日、史上初めて1オンス=2000ドルに達した。ドル安と新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響が資金逃避先としての需要を押し上げた。新たな金ブームへの期待を背景に、産金業界は増産に向けた探鉱再開の動きを加速している。

 金先物先物の中心限月は同日アジア時間帯午前の取引で一時2.3%高の2000ドルに達した。金現物は一時1973.44ドルで取引された。

 今年の金上場投資信託(ETF)への資金流入が既に2009年の最高値を更新し相場を下支えしている。地政学リスクの高まりに加え、実質金利の低下や、各国政府や中央銀行による多額の景気刺激策などの材料が重なった。

 FRB政策が下支え

 28、29両日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)もさらなる金の支援材料となりそうだ。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は新型コロナ対策として事実上のゼロ金利政策を長期間維持するなどのメッセージを強めるとの見方が台頭しているためだ。

 金取引会社ABCブリオンの国際ゼネラルマネジャー、ニコラス・フラペル氏は「FOMCの声明が金の支援材料につながる可能性が高い。実質金利がマイナス圏にあることや、感染再拡大への懸念がドル売りを誘っていることも相場の押し上げ要因となる」と指摘した。

 こうした中、産金業界では、既に金価格の長期的な値上がりを見込み、新型コロナで中断していた探鉱再開の動きを活発化させている。

 来年にも中国を抜いて世界トップの産金国になる見通しのオーストラリアでは、エマーソン・リソーシズが掘削作業を再開し、豪州産金最大手ニュークレスト・マイニングも中国やエクアドルなどで停止した採掘計画再開の検討に着手した。

 他の産業や大手金属メーカーがポストコロナ禍の景気回復ペースへの警戒感から設備投資縮小の方針を打ち出しているのとは対照的に、産金各社は活動再開に意欲的だ。金鉱山最大手の米ニューモントは、金相場上昇が5年間続くとみている。

 「発見なし」も追い風

 大規模な金鉱脈が新たに発見されていないことも金の買いに拍車をかけている。

 オデイ・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、エイドリアン・コートニー氏は「大規模で新しい、採算の合う金鉱床がもはや存在しないことが金ブームの背景にある」と分析する。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、世界では過去3年間、大きな金鉱脈の発見がなく、過去10年間でも25件にとどまっている。

 それでもエマーソンズのビルズCEOは「産金会社にとって理想的な環境だ。採掘コストは上昇しておらず、掘削リグはたくさんある。市場は金鉱脈の発見に極めて敏感で、われわれは非常に積極的だ」と話した。(ブルームバーグ Ranjeetha Pakiam、Sybilla Gross)

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