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東京問題いら立つ政府 ホテル確保、保健所強化迷走に加え口撃に嘆き

 新型コロナウイルスの感染拡大で、政府が東京都への不信を高めている。都の対応が後手に回る一方で、小池百合子都知事が政府への「口撃」を繰り返しているためだ。政府高官は「やるべきことは他にある」と批判する。東京が新たな感染の中心地(エピセンター)になっている中で、深まる対立は感染再拡大防止の障害となりかねない。

 対立が顕在化したのは、菅義偉官房長官が7月11日に感染再拡大の状況を「圧倒的に東京問題」と発言したことがきっかけだ。これに小池氏は「圧倒的に検査数が多いのが東京だ」と反論。国の観光支援策「Go To トラベル」が感染防止策と矛盾するとして「冷房と暖房の両方をかけることについて、どう対応していくのか」とあてこすった。

 だが、菅氏が根拠なく「東京問題」と言及したわけではない。当時、新宿区歌舞伎町などのいわゆる「夜の街」でクラスターが発生。全国で東京の感染者が突出していた。

 「保健所の機能強化を全然やっていない。ホテルも解約してひどいよね」

 都の対応について、ある閣僚はこう語る。

 なかでも複数の政府関係者が問題視するのが、軽症者の宿泊療養のためのホテルをめぐる対応だ。宿泊施設は、国の基本的対処方針で都道府県が確保に努めるよう求められている。

 都は一時、5つのホテルで計2865室を確保したが、6月末に3つを閉鎖。残りのうち1つも7月中旬に受け入れが終了し、一時196室まで落ち込んだ。

 費用がかさむことを受けた対応とされる。その間に感染は再拡大し、都は追加で7月16、23両日に2ホテル計474室を確保。7月28日には7月末までに約2千室、1200人分を確保できるめどがたったと発表した。

 だが、政府の不信感は根強い。西村康稔経済再生担当相は7月26日、「できないならばわれわれ(国)がしっかりと行う」とくぎを刺した。

 都と23区の連携にも不協和音が生じている。都は23区の保健所とかねて人事交流を行っており、国は保健所の機能強化に協力するよう、再三、都に求めてきた。都は要請があった際の事務職員派遣などは行っているが、国の要請に対しては、当初「区の問題」として鈍い動きしかみせなかった。

 都は7月20日に感染が拡大した新宿区に支援拠点を設置し、人手不足に悩む保健所の負担軽減に乗り出した。職員10人態勢で業務の一部を肩代わりしている。だが、新宿区の関係者によると、支援拠点の稼働は平日のみで定時には業務を終了。定時までに処理できなかった仕事は、区の保健所職員が対応しているという。

 都の担当者は「今後新宿区と連携しながら運用を改善していく」と説明するが、新宿区関係者は「都がどこまで親身に対応してくれるのか疑問だ。パフォーマンスだけでは」と憤る。政府が「東京問題」に焦点を当てるのは、区の不満を代弁する意味もある。

 人口規模から見ても、感染防止対策の成否を左右するのは東京だ。政府高官は「やるべきことをやってほしい。これでは『言うだけ番長』だ」と嘆息する。(大島悠亮、沢田大典)

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