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総裁選所見発表詳報(11)岸田氏「持続可能な資本主義を考える」

 ■岸田文雄氏 また、中間層への支援というのは、日本だけではなくて、アメリカをはじめ世界各国の課題として浮かび上がっています。この中間層への支援、教育、あるいは住宅、こういった部分における支援が最も効果的だ、こういった議論が行われています。最低賃金の引き上げ、こういったものも考えなければなりません。

 また加えて、この資本主義そのものについても考えなければいけない、こういった時期が来ています。もうけ、あるいは効率最優先の資本主義、新自由主義というものが批判をされ始めてからも久しいわけでありますが、今(投資判断に環境、社会、企業統治の視点を取り入れる)ESG投資ですとか、SDGs(持続可能な開発目標)ですとか、世界的にこういったものが注目をされている。

 こういった時代にあって、私たちは改めて、人に優しい、公益に資する、持続可能な資本主義を考えていかなければいけないのではないか。日本においても、昨今、渋沢栄一が再評価されている。こういった動きも、こうした流れの一環ではないかと思います。

 資本主義というもの、資本と労働、カネと人、これが大きな要素だといわれています。このカネの部分ではなくして、人の部分にしっかりと注目をする、分配を考えていく、こういった資本主義、今考えていく必要があるんではないか。こんな問題意識も持ちます。

 また、経済においては、財政と金融、この2つのエンジンでこの経済の成長を引っ張ってきた。しかし、持続可能性ということを考えたら、もう一つのエンジン、成長戦略、新しい時代の成長のエンジンをしっかり考え、吹かしていかないと、持続可能性を維持することができないんではないか、こんな問題意識があります。

 21世紀の石油といわれるビッグデータや、あるいは5Gをはじめとする最新の技術、こういったものをしっかりと結びつけることによって、新しいエンジンを作る。そしてこういった考え方は地方においても大変有効な考え方であります。

 地方においても従来から都市と地方の格差という問題が問題意識としてありました。今、新型コロナウイルスとの戦いの中で、デジタル化、リモート化、あるいはテレワーク、東京や大都市にいなくても働くことができるんだ、あるいは東京や大都市にいなくても情報が得られる、医療や教育が受けられる、これを私たち日本人は改めて実感をした。これが今の状態だと思います。

 過度の東京や大都市への集中は、感染症ということの戦いにおいても問題だ。これも考え直していかなければいけない。こういった意識が広がっている今こそ、地方にとってのチャンスがめぐってきた。こういったことではないかと思います。

 データや最新の技術をそれぞれの分野に結びつけることによって、ドローン宅配や自動運転やリモート診療、リモート教育、スマート農林水産業、さまざまなこの成長のエンジンに、地方のエンジンに結び付けていく。これはチャンスではないか。こういったことを強く感じています。=(12)に続く

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