国内

総裁選所見発表詳報(12完)岸田氏「失敗を繰り返し人の心が分かるようになった」

 ■岸田文雄氏 40年前、「田園都市構想」という構想が大平(正芳)総理によって打ち出された。こういった時代がありました。田園に都市の便利さを、都市に田園の豊かさを、こうした個性あるあふれる都市を全国に作ろう。こういった構想でありましたが、この構想に40年ぶりに命を吹き込むチャンスを私たちは今得ているんではないか。こんなことを思います。

 そして、こうした成長戦略、あるいはデジタル田園都市構想、こうした構想を考えるにつきましても、このわが国の官民挙げてのデジタル化、そしてその上に21世紀の石油といわれるデータをしっかり乗っけることによって、こうしたエンジンをしっかりと吹かしていかなければいけないのではないか。

 デジタル化を進めることによって、この省庁の垣根を払う、全国民間にも広げていく。もちろんこれは大事ですが、その上にデータがしっかり乗ってこそ成果につながる。よってこの制度の組織の名前はさまざまでありましょうが、私はデジタルの部分については「DX推進委員会」、そしてデータの部分については「データ庁」、こういったものを考えてもいいんではないか、こんなことが言われています。

 そして外交の部分についても、日米関係、日中関係、これはともに大事でありますが、やはり世界の分断、保護主義、自国第一主義、あるいはブロック経済、こういったものが進む中にあって、日本のように資源のない国、島国、人口が減少する国が生きていくとしたならば、二国間関係もちろん大事でありますが、やはりマルチ外交、これが大事になってくるのではないか。

 自由や民主主義、こうした基本的な価値を共有する国々とともに、地球規模の課題、環境やエネルギー、平和、こういった問題にしっかり取り組んでいく。こういった外交、その中で日本というような国は、存在感を示し、そして「日本みたいな国は大事な国だな」と言ってもらえるような国を目指す。これが、この分断が進む社会に、国際社会における日本の生きる道ではないかと思います。

 このように、国の内外に格差や分断が進む、この現代的なこの課題に、しっかりと分断から協調へと臨んでいく。これが今から望まれるのではないか。そして、こうした課題を解決するためには、あらゆる課題が国民の協力なくして結果を得ることができません。国民の協力を引き出す政治が今、求められている。国民の協力を引き出すためには、政治の信頼と、そして冒頭申し上げました政治の聞く力、これをしっかり取り戻さなければなりません。

 今、日本は国難にあります。こういったときだから保守のこの政治が重要になってきます。歴史や文化を大事にしながら、歴史の教訓に思いをめぐらし、徹底的な現実主義に基づいて、変えるものを変えていく。こうした保守のあり方があるからこそ、保守は激動の時代において成果を上げ、国民をまとめることができます。これが今できるのは、自由民主党だけであるということをわれわれはしっかりとこの胸に、国民の皆さんに政治を訴えていかなければなりません。

 そして最後に個人的なことを申し上げて恐縮ですが、私はこれまでの人生、本当に多くの失敗を繰り返していきました。例えば学生時代、私はですね、大学、同じ大学の入試に3回失敗しました。また野球をやりましたら、さまざまな失敗に出合いました。国会議員になってからも、さまざまな失敗を繰り返しました。その中で得たもの、これはチームに参加する、協力してくれる人の心が分かるようになった。こういったことです。

 ぜひ激動の時代、自民党はオールスターで、そしてこのオール自民党で、チームを組んで、そして激動の時代、最高のパフォーマンスを繰り広げなければなりません。そのために、自分が輝くのではなくして、チームの一人一人を輝かせる、こういったリーダーを目指したいと思います。

 ぜひ激動の時代、ともに、皆さんとともに政治を前進させるために、ご理解、ご協力を心からお願い申し上げて話を終わらせていただきます。ありがとうございました。=(おわり)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus