海外情勢

英は「合意なき離脱」辞せず、EUに通告へ 来月を妥結期限に

 ジョンソン英首相は、欧州連合(EU)離脱の中核的原則と考える部分で妥協を迫られる場合は、EUとの通商協議から手を引く用意があるとEU側に伝える方針だ。英EUの交渉は今週ロンドンで再開されるが、行き詰まりの打開が不可能ではないかとの感触が双方で広がりつつある。

 英首相官邸が電子メールで配布した声明によれば、ジョンソン首相は7日、EUが10月15、16日に開く首脳会議を通商協議の妥結期限として設定し、必要なら通商合意が成立しなくても離脱移行期間を年末に終了する用意があると表明。このシナリオが「良い結果」だと首相は説明する。

 首相官邸によると、ジョンソン首相は英政府が9月を通じて懸命に努力し、EUに立場の「再考」を強く促すことを約束したうえで、「得られる合意はなお存在する」としながらも、「それを得るために独立国家の証しである原則で妥協することはできず、妥協しない」と強調する。

 一方、EU離脱協定の法的効力を一部弱めることを意図した法案の公表を英政府が準備していると事情に詳しい関係者1人が明らかにした。

 関係者が匿名を条件に語ったところでは、英領北アイルランドの貿易に関係する未解決の問題で英、EUが合意できない場合に備えて、フォールバック(代替)オプションとして施行する措置を盛り込んだ「国内市場法案」の内容が9日に明らかになる見通しだ。

 関係者3人からの情報を引用し、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたところでは、国内市場法案の項目は、国庫補助と北アイルランドの税関を含む分野で「離脱協定の法的効力を一部失わせる」と考えられる。

 関係者の1人はFT紙に対し、アイルランド国境のハードボーダー(物理的壁)の設置回避に向け、ジョンソン首相が署名した北アイルランドに関する合意を「明確かつ意識的」に損なうものだと述べており、EUとの通商協議の崩壊につながる危険があると同紙は伝えた。

 英国とEUとの通商協議は、漁業権や国庫補助の問題で折り合わず、何カ月も暗礁に乗り上げた状態が続いている。(ブルームバーグ Stuart Biggs)

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