海外情勢

GMが米ニコラ株取得を電撃発表 FCV需要を観測か

 米自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)は8日、燃料電池セミトラックを開発する米ニコラとの戦略的提携を電撃発表した。GMはニコラ株の11%に当たる20億ドル(約2120億円)相当の株式を取得し、ニコラが開発中の電動ピックアップトラック「バッジャー」の製造や車載電池の供給、燃料電池車(FCV)の技術などを手掛ける。

 FCV需要を観測か

 発表資料によると、GMはニコラ株を保有するほか、同社取締役会に候補者1人を推薦する権利を得た。GMはニコラ株の取得に際し、現金による支払いではなく、サービスなどの形で同社に貢献していく。

 8日の米株式市場で両社の株価は急伸し、終値はニコラ株が前営業日比41%高、GMも2月24日以来の高値となる同8%高だった。対照的に、米電気自動車(EV)大手テスラはこの日、1日当たりで過去最大の下げを演じ、同21%安で取引を終了した。

 米国では乗用車からスポーツ用多目的車(SUV)やピックアップといったライトトラックへのシフトが進み、開発競争が激しさを増している。GMとニコラは2022年末までにバッジャーの生産開始を予定する一方、GMが来年発売を約束している「ハマー」のEVトラックなど自社電動化モデルと競合する可能性がある。

 だがGMはバッジャーについて、商用トラック市場におけるFCVの需要をはかるテストケースと見なす可能性がある。またニコラとの提携は、代替燃料車の戦略の多角化を進め、取り残されないようにするというGMの取り組みを裏付ける。

 GMのバーラ最高経営責任者(CEO)は記者との電話会議で「双方にとって大きな成長機会があるとみている。ニコラとの提携によりGMはクラス7、8の中大型トラック事業へのアクセスを得る」と説明した。

 「事業分離の手はず」

 今回の両社の提携は、アマゾン・コムが出資する新興EVメーカー、リビアン・オートモーティブへ昨年、ライバルの米フォード・モーターが出資したのに続く動きだ。GMもリビアンへの出資で暫定合意していたが破談となり、フォードの急襲を許してしまった。それ以降GMは、EV事業を分離独立して新会社設立を検討するよう投資家から圧力をかけられてきた。

 自動車売買情報サイトのオートトレーダー・ドット・コムのエグゼクティブアナリスト、ミシェル・クレブス氏は「GMはフォードに敗れた。ニコラはある種の代替だ。恐らく今回の提携でGMがEV事業を分離独立する手はずが整う。ウォール街の一部はそうすることで価値を引き出すと提案してきた」と指摘する。

 ブルームバーグ・インテリジェンスの自動車担当シニアアナリスト、ケビン・タイナン氏は「GMによるEV、水素燃料電池トラックメーカー、ニコラの株式20億ドル相当の取得は、競争力のある代替ドライブトレーン(動力伝達系統)車を量販しないことへのリスクヘッジだ。ニコラは時価総額130億ドルながらこれまで売り上げも販売可能な車両もない。ニコラがGMよりも先進的というわけではないが、提携によって昔ながらの自動車メーカー、GMのブランド認知は高まるだろう」と分析している。(ブルームバーグ David Welch、Ed Ludlow)

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