海外情勢

コロナ影響で2030年までの貧困撲滅は困難 世銀が先進国に協力訴え

 新型コロナウイルスの感染拡大により、2030年までの貧困撲滅を目指す国際目標の達成が困難な状況となった。1990年代から続いてきた貧困問題の改善傾向は反転しており、一層の国際協力が求められそうだ。

 途上国の貧困問題に取り組む世界銀行で開発融資を統括する西尾昭彦・副総裁がこのほど、達成が「非常に難しい」との認識を示し、日本を含む先進国による途上国支援の拡充を訴えた。

 世界各国による感染拡大防止策としての移動・出入国制限に伴い旅行需要が急減。出稼ぎ労働者による海外からの仕送りも減り、困窮者が急増した。新型コロナは観光業などに依存する途上国の経済をむしばんでいる。

 世界の貧困撲滅は、国連が2015年に採択した30年までの新たな開発目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の柱。具体的な裏付けとして、世銀が貧困率を調査し、30年までに極度の貧困(1日1.9ドル=約200円=未満の生活)にある人口割合を3%まで引き下げる目標を立てている。

 1990年に36%(約19億人)だった極度の貧困率は2015年には10%(約7億3000万人)まで縮小した。低所得国でも1990年の54%から改善。今年は27.5%まで低下するはずだったが、30%前後へ再び上昇する見込みだ。目標はもともと野心的だったが、途上国経済全体が達成に向けて十分に発展しておらず、新型コロナの直撃が追い打ちを掛けた。

 西尾氏は「今支援を拡大しなければ(貧困削減に向けた)遅れを取り戻せなくなる恐れがある」と強調。先進国に政府開発援助(ODA)などを通じた資金提供や危機対応支援を求めた。途上国がワクチンを確保できない事態に陥らないよう国際協調の強化も訴えた。(ワシントン 共同)

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