海外情勢

CDC所長、ワクチンが国民に行き渡る時期「来年夏ごろ」と証言 トランプ氏は否定

 【ワシントン=平田雄介】トランプ米大統領は16日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症のワクチンが「10月にも完成し、年内に少なくとも1億回分の接種量」を確保できる見通しを示した。高齢者や糖尿病など基礎疾患を持つ重症化リスクの高い人への投与を優先し、全米に普及させた後は外国にも提供する。

 トランプ政権は「ワクチン配布戦略」も発表。ワープスピード(超光速)作戦と名づけて開発中のワクチンの使用許可を食品医薬品局(FDA)が出し次第、米軍の支援で全米各地の保健当局に輸送するとした。

 トランプ氏の会見に同席した新型コロナ対策顧問のアトラス医師は「遅くとも来年1月には医療従事者や重症化リスクの高い人に接種できる」と説明。感染率の高い低所得者層にも優先接種する考えを示した。春先には「7億回分」の接種量を確保できるとした。2回接種が必要なタイプでも3億人超の国民に行き渡る計算となる。

 一方、米疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長は16日の上院歳出委員会小委員会の公聴会で、国民に行き渡る時期を「来年夏ごろ」と証言したが、トランプ氏は会見で否定した。

 ワクチン開発は完成まで10年以上かかることも珍しくない。短期間で完成するワクチンに対しては安全性や効果を疑問視するだけでなく、11月に再選をかけた大統領選を控えるトランプ氏の政治的思惑を指摘する声も出ている。

 大統領選の民主党候補のバイデン前副大統領は同日、地元の東部デラウェア州で「トランプ氏を信用してはいけない」と訴えた。米国の新型コロナの死者は20万人に迫っている。

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