海外情勢

中国・内モンゴルの漢語授業に反発 保護者「母語減れば登校拒否再発」

 一部授業をモンゴル語から標準中国語(漢語)に切り替える教育政策に抗議し、登校拒否が広がった中国・内モンゴル自治区の民族小中学校。通遼市では、学校周辺で警官が目を光らせ、親の多くが取材に口をつぐむ。当局の圧力で大半が登校を始め、「正常化」されたものの、モンゴル族は母語の危機に不安を強めていた。

 市中心から南へ車で約1時間半の地区を訪れると、大勢のモンゴル族が下校する子供を迎えに来ていた。中国では親の送り迎えは一般的。ただ、このときは多数の治安当局者が監視していた。保護者の女性は「モンゴル語教育がどうなるか心配。でもずっと登校させないわけにもいかず、皆どうしようもない」と声を潜めた。

 複数の住民によると、小学1年と中学1年の国語に当たる授業が9月の新学期から漢語に切り替わることになり、反発が広がった。民族高校にも保護者が集まり周囲が一時封鎖された。モンゴル族の男性は「多くの住民が拘束された。刑事拘留された人もいる。一帯で計約3000人が授業をボイコットした」と話す。

 中心部から北に約50キロ離れた地区でも多数の子供が授業を欠席。現在はほぼ学校に戻ったが、当局は来年以降に政治や歴史の科目も漢語授業にする。低学年の娘が通う女性は「モンゴル語教育が来年また減れば、ボイコットが再発すると思う」と不信を隠さない。

 市中心の民族学校でも警官が校門に立つ。母親は小学3年の子供が「2言語に対応できるか心配だ」と漏らす。1年生の多くが登校しなかったが、当局が職場や学校を通じて親を説得したという。

 自治区が漢語強化を発表したのは新学期直前だが、住民や出身者によると、通遼市では早くから懸念が出ていた。教育省幹部が6月に現地視察し、通遼が先行して強化を受け入れると噂されたためだ。その後、日本の約3倍の面積がある自治区全域が対象だと判明、抗議が広がった。

 通遼市では多くの家庭でモンゴル語を話すが、進学や就職を考え、民族学校でなく一般校に子供を通わせる人も。自治区で多数派の漢族には「『漢化』して社会に融合するには当然、標準語が必要」(40代男性)などと、少数民族の言語問題への共感が薄い。

 モンゴル族の母親は、自分が漢語を学び始めたのは小学3年だったが、入学したばかりの息子は1年から学習を強いられ「重圧になる」と気遣う。だが「政府は私たちの意見なんか聞いてくれない」とつぶやいた。(通遼 共同)

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